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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「初体験・千代子編」 第二話

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「俺だって忘れられないよ。今日だけって割り切る事なんか出来ない・・・どうすればいいんだよ?」
「最初に言ったでしょ?我慢してくれなきゃ困るの。お見合いをしたらもう結婚するかも知れないのよ・・・ううん、多分すると思う。新潟であなたに出逢わなかったらこんな事にはならなかったでしょうから違う人生だったのかも知れないけど、今は幸せなの。好きになった雄介さんとこうして結ばれたし、思い残す事無く結婚できる。あなたはまだまだ自分の人生をどうにでも変える事が出来るわ。彼女さんの幸せと自分の生きがいをしっかりと考えて行動してね。解った?」
「自分がまだ高校生な事を恨みます・・・」
「雄介さん・・・」
千代子はウソでもそう言ってくれたことに感動した。好きになった雄介と結ばれても結婚できなかった事はお互いにそういう運命だった事を思い知らされた。もし結婚できる運命だったなら神様はもっと早く雄介と引き合わせてくれていたであろう。
無理に交際して仮に結婚までたどり着けたとしても、果たして幸せな人生を歩み続けられるかどうかは解らない。今は5歳年上でも気にならない雄介であっても、そのうちに若い女性に目が行くようになると思えるのだった。

雄介は千代子との切ない時間をギリギリまで何度も何度も求めた。

ホテルを後にして帰り道、すっかり暗くなった駅に向かう通りを手をつないで言葉も少なく歩いていた。やがて人通りの多い街道に出て、目の前に雄介が乗る電車の駅が見えてきた。かなり歩いたと思うが時間はあっという間に感じられた。
これで千代子とも逢えないと思うと・・・切ない。それは千代子も同じだった。

「幸せになってください・・・それしか言えません」
「雄介さん・・・ありがとう。あなたは私の最初で最後の想い出の人・・・絶対に忘れないから」
「俺も忘れません」
「ううん、彼女と結婚したら忘れて!・・・あなたが幸せになってくれないと嫌だから・・・ね?」
「じゃあ、千代子さんも結婚したら忘れてください、俺の事」
「それは無理。あなたは特別だから・・・ここに仕舞っておくの」
そう言って胸に手を当てた。

千代子は初めて好きになった男性が年下の高校生だったことを恨んだ。そして、この日の出来事は永久に語ることの無い想い出として深く胸に仕舞って翌年お見合いした相手と結婚した。


「初体験・ダイエー編」 第一話に続く