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カップリング色々(スレイヤーズ小話)2話目UP!

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快晴の空に・・・ ゼロス×フィリア


こちらの小説も幾日か前twitterのお友達のみゃ様と話して作ってみました。
ゼロフィリとはどういう関係なのか?を考えて書きました。

こちらの小説はみゃ様に捧げます!
では、どうぞ。短編ですがお楽しみいただけたら幸いです。




その日は快晴。
午後の昼下がり。
空を見渡してもどこまでも青しかない。

フィリアは、今日はとてもいい洗濯日和だったなと思った。
だって、昨日まで天気が悪くて、とても洗濯どころじゃなかったから。
嵐で外に行くことができない。
じっと、部屋の窓から外の雨を見ているだけ。
フィリアの家には自分も含め、獣人2人+竜の少年1人で生活している。
計4人家族の女性にはそんな天気の悪い日は恨めしいったらない。
あの天気で洗濯物が貯まりすぎていたのだ。
彼女は、今はすっかり乾ききった洗濯物を取り込んでいた。

今日の古美術商の商いはジラスに任せて、自分は家事をやることを決めたのだ。
ジラスはフィリアのことをとてもよく慕い、「姉さん。これでいいでやすか?」と言い、仕事のこともなんでもよく手伝ってくれる。
獣人の彼は、本当に穏やかな目つきになった。

そういえば、エンシェントドラゴンのヴァルガーブはこの快晴で、家を飛び出して行った。
少年から青年の狭間にいるヴァルガーブはなかなか家にいることがなかった。
ヴァルガーブはフィリアの見守る中、たったの3年でぐんぐん成長していった。
一緒に暮らし始めたときは、あんなに小さい竜だったのに。
彼は人間の姿を形どるだけでも、大変で。
フィリアがその方法を教えるだけでも苦労したというのに。
尻尾や角が出てきて大変だった。
しかし、それもチャーミングでかわいらしく、3人の心を慰めた。

でも、今では、もう・・・
フィリアのすらりと高い身長も超えつつあった。

彼女も気がついたことがあった。
ヴァルガーブは最近、子供になる前のことをほとんど完全に思い出したらしい。
昔は、ぽつりぽつりと自分の思い出した過去の話をフィリアにしてきて、彼女のハグを求めた。
その度に、少年の頬伝う涙をきれいにアイロンをかけてシワひとつない白いハンカチで拭い、彼を抱きしめた。
彼の小さい頭に自分の頬を寄せ、
「大丈夫。ヴァル。私がついているわ。
 それに、ジラスもグラホスも。
 だから、泣かないで。
 ね。わたくしのかわいい子。」
そう言うと、小さい体の彼は安心したように、フィリアの胸で眠った。

でも、最近は彼が過去を思い出しているときはよくわかる。
窓辺で物憂げな表情で、外を見つめている彼を横目でちらりと見ると、
遠い目でどこかを見、決して、フィリアや一緒に住んでいる住人へも目を合わすことはなかった。
一人で過去を思い出し、苦しんでいるようだった。
もう、今のヴァルガーブはフィリアの慈愛のハグを望んではいないことを彼女は理解できた。
彼も大人になったのだ。
それは、自分にとってはうれしくもあり、ほんのちょっぴり寂しいことではあるかもしれないが・・・

もしかすると、彼はそろそろこのうちから旅立ってしまうかもしれない。
そんな考えも、心の片隅にあった。

グラボスは屈強な肉体の有り余った体力で森へと狩りへ出かけた。
彼もヴァルガーブと同じで、家の中でじっとしている男ではなかったが、でも、彼のできることで、家計を助けてくれた。
無口な男で誤解されやすいのだが、心優しい男なのだ。

(家事で忙しいけど、でも、天気がこんなに素敵だったら文句もないわ。)
クス。
小さく笑って、フィリアは自分の家の庭からの空を見た。
私だって、昔は火竜王の巫女なんていう聖女紛いの役職をこなしていたが、今ではどうなの?
多くの人々の幸せを願うより、寄せ集めの家族の世話をしている方がよっぽど性に合っていることに今更気がつくなんて・・・

そして、休めていた手を動かし、乾いた白いシーツを取り込んでいる
彼女の美しい金髪を少し冷たい風が吹き、なびかせた。
フィリアは自分の髪を片手で押さえる。

「こんにちわ。フィリアさん。
 お久しぶりです。」

と、唐突に涼やかな声が後ろから投げかけられた。

フィリアはその声のする後ろを振り返った。
この声は、知っている。
そこには・・・
どこからともなく現れた漆黒の闇のマントを纏った青年ゼロスが、機嫌がよさそうな笑顔で立っていった。
さわやかな昼下がりには似つかわしくない存在を確認し、フィリアは目を細めた。

そして、その方向からぷいっと顔を背け、自分の仕事を続けた。
「あら。ゼロス。
 本当にお久しぶりね。
 何年ぶりかしらね。」
「いやあ〜本当に!
 時々、あなたたちのことは監視させていただいてましたが。
 直接フィリアさんに声をかけるのは3年ぶりぐらいですかね?」
片手をその肩まで切りそろえられた髪がある頭に当て、「あはは。」と軽く彼は笑った。
「あら〜まぁ!
 そうでしたの。
 それは気がつきませんでしたわ。」
「ええ。あなたたちには気がつかれないように行動するのが、僕のお仕事ですから〜。」
その闇の青年の答えに、フィリアは形のよい唇を引きつらせた。
久しぶりに会う知り合いなのだが、まったくもって会いたいという気持ちなど、砂の粒ほど思っていないフィリアの心はムカムカした。
この男は、絶対に自分をいらつかせることしかしないことも思い出した。
そもそも、存在自体がフィリアの心を逆撫でするのだ。
「盗み見が商売とは、魔族って本当に素敵なお仕事をしていらっしゃるわ〜。」
フィリアは最大限の嫌味を込めて、そう言い放った。
「ところで、あなたの体。
 住んでいる住人の許可なく敷地内に入り込んでいますわ。
 ほら、私の庭の柵の向こう側が他人のいていい場所ですわよ。」
そして、フィリアは庭の向こう側を指差した。
「知り合いといえども、赤の他人ですから。
 あちら側から話しかけてもらえません?」
ゼロスはフィリアの白く細いきれいな指を見て、くすりと笑った。
「ああ。すみません。僕って、他人の許可なく盗み見が商売の魔族なものでして、気がつきませんでした〜。」
あっはっは。と。フィリアのいやみなど気にも留めてない様子のゼロスに、
フィリアは「まったくだから魔族なんて嫌いなのよ!礼儀っていうものを知らないんだから!」と、ぶつぶつと文句を言った。
「いやあ、さすがはゴールドドラゴンです。フィリアさん。
 いくら人間に上手に化けていても、犬と一緒ですね〜。
 縄張りに対してうるさいんですから〜。
 きゃんきゃんとよく騒ぐ。(笑」

ぶちぃ!

フィリアの何かが切れる音が聞こえた気がした。

ゼロスは後ろ姿のフィリアを楽しげに見つめた。
両手はこぶしを握り締め、わなわなと体が小刻みに揺れている。
「あ、しまった!つい、怒らせてしまいました。」と、心で言い、ぺろりと舌を出した。
そして、フィリアはゆっくりと後ろを振り返った。
「い・・・犬!?」

「この私が!?」

「この気高いゴールデンドラゴンのわたくしを犬呼ばわりするの!?」

(あはは。目が据わっています〜!)

ゴゴゴ・・・

「このーーーーーーー!!!
 ゼロスぅぅぅぅーーーーーーーー!!!!!」