手紙 ―Affectionate Letter―(5/12)
みんなも手紙――ファンレターとかラブレターの類をね――をひとつやふたつはもらったことあるだろ? まぁ一部を除いて。
いつだったかなあ、私宛の手紙の一つが……あまりにも恐ろしい代物だったから、近所の寺で燃やしてもらったことがあるんだ。
うん、何だい七竈(ナナカマド)くん?
ああ、うん……だって仕方がないだろう? あれを貰ったら君だってそうせずにはいられないさ。
封筒は普通だったんだけどね、問題は中身さ。
真っ赤な文字(若干黒ずんでたから絶対血だ!)で紙面いっぱいに、
「 だ い す き 」
「 ず っ と み て る か ら 」
なんて告白を受けてもだなぁ……。
正直怖いだけじゃないか!
しばらく手紙というか、封筒に入った書類を手に取るのが怖くなって困ったよ。
「茨木童子のように襲われなくてよかったな」
作品名:手紙 ―Affectionate Letter―(5/12) 作家名:狂言巡