はちみつとれもん
何気ない仕草にときめいたりドキドキする。
恋は砂糖菓子のようにずっと甘いものなんかじゃない。
時には甘くほろ苦いような・・・甘酸っぱいような
温かなはちみつレモンのような味がするんだと思う
ともかく落ちている場合ではないんだけど…
どうもテンションが上がらない。
PCの画面の前でああでもないこうでもないを私は繰り返す。
時間はまだあるんだけど思うようにならない作業…
毎回同じように悩む…ああもっと器用にこなせたら…
なんてことを考えていたら落ちる場所まで落ちてしまったって言うか…
「まったく…私ってば成長なさ過ぎ…こういうときは
凝り固まってたら駄目なんだよね少し休憩…」
マウスから手を離し背伸びをして深呼吸…
うーんと手を伸ばすと隣の部屋からこぼれる音に気づく…
レンの声だ…新しい曲の練習でもしているのかな…
…なんて聞き耳を立てる。
少し休憩すればいいのに…
なんて思いながらも私の足はキッチンへと向かった。
部屋もちょっと寒かったし身体を温まるものを…と思いながら
定番の紅茶に手を伸ばしかけやめる…
そういえば…美味しい蜂蜜頂いたっけ…檸檬も確かあったから
蜂蜜と檸檬でホットレモネードを作ろう…
いつの間にか用意するカップは二つ…
蜂蜜は喉にもいいし喜んでくれるかも…
喜んでくれるかな…
わずかな期待を胸にカップを持って移動…
でも練習の最中だったら邪魔になるかも…
ノックをする手に迷いが…
でも聞こえてきたのは…私が大好きな曲で…
思わず静かにドアの前に座って目を瞑りその歌声に耳を傾ける…
しばらくうっとりしてると
ガチャリとドアが開く…
思わず開くとは思って居なかったので驚く…
「そこで何やってるの・・・」
呆れ顔でレンがこっちを見つめる…
「えっと…これ…」
予期せぬ事態というかイレギュラーな事に対応しきれない私は
テンパってマグカップをもって口を金魚のようにパクパクさせた。
チラリとカップを見つめレンは溜息をついてカップを奪い
私の顔を覗き込む…あまりの至近距離に顔が赤くなって行くのがわかる
「…作業」
「えっ…」
「作業終わったのかよ…」
「…まっ…まだ…」
「そう…」
「でっ…でもあと少しで終わるから…」
「じゃあ…さっさと作業すれば??歌なんて聞いてないで…」
そっけない対応に思わずしゅんとなってしまう…
さりげなくカップ口をつけ一口飲んだ後に
カップをテーブルに置いて髪を軽くかきあげながら
レンは言葉を続ける…
「歌は後でも聞けるだろう??…俺新しい歌覚えたんだけど…」
えっ…それってもしかして…聞かせてくれるってことかな…
「がっ…頑張ってくる!!」
「さっさとしないと音出し出来る時間なくなるぜ…」
「今から頑張るってば…」
カップ片手に部屋へ戻ろうとする私にレンは声をかける
「なぁオイ…」
「なに??」
「これサンキューな…」
「どういたしまして!!」
思わず満面の笑みになる…レンの一言で
私は一喜一憂にする…
苦い事ばっかりじゃなくって甘い事もあるよ…
私はレンの曲が早く聞きたくって作業へと戻るのであった。
Happy END??