がんばる五行詩
「一日」
甲羅を開けて
心を洗えば皺くちゃでも
朝露の葉にウインク
冷気の勢いでパチリ
碁盤に地図を描く
「濡衣」
とんでもござらぬ
問屋の三郎佐衛門
とんとんとんからり
めっそうもない
まっとうまじめが家訓
「戦後の小学生」
水の地球的循環を習ったとき
我を忘れて大声
銀河の大きさを習ったとき
数日しゃべりまくり
外国はアメリカだと思っていたくせに
「嘴太鴉」
翼竜または八咫烏の八羽ほど
低空飛行してくる車道
漆黒の肩の厚みてらてらと
ゴミすれすれに進化の形
くっきりと、指先は繊細に開く
「嬉しいな太極拳」
冷気、日光、朝八時
天地の間に立つ一本の
筒の息、宙に停まりつつ
重心が動く、汗は熱く
ほほは冷たいままに