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南 総太郎
南 総太郎
novelistID. 32770
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『暴かれた万葉』  17

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『暴かれた万葉』 17


今日の大木老人は至極元気である。

小春日和の縁側に籐椅子を引っ張り出して、日向ぼっこを

しながらの、お喋りである。

「大木さん、私が思うに、この上総八景は、飽くまでも麻倉祥雲が

選んだ場所ですよね。他にも絵になるような景勝地が無い訳じゃないですよね」

「うむ、そうじゃな。眺めの良い場所はいくらでもあろうな。広い上総だから」

「と言う事は、何かに都合の良い場所を選んだのですね?」

「そうじゃな」

「それぞれの土地名の後に続く風景は、中国の八景を借りているので、勝手に

変えては意味が無くなる」

「其の通りじゃ」

「・・・・・・」

「どうした?」

「ううん、今考えてんですけど、若し、それぞれの頭文字を使って、何か文章を

作ろうとしたら、都合の良い場所を選ぶ必要が出て来ますよね」

「そうだね、いい処に気が付いたな。あんたもなかなかじゃないか」

「それ程でも。となると、十六の頭文字を使って、どんな文章がつくれるか試して

みる必要が有りますね」

「そうだな、早速やってごらん」
 
暫くの間、本多は文字の羅列に懸命に取り組んでいたが、

「大木さん、こんなのはどうでしょう」

「どれどれ」

「ひせきしろやまくぼあかばきくきゆ、何か意味ありげでしょ」

「ううん、ひせき、しろやま、くぼ、あかば、きく、きゆ、か」

「あの白山神社の白山はしろやま、とも読めますし、秘蹟には違いないし、

確か、K郡誌の中でも、古墳の頂上は窪んでいるとありましたし、あかばも、

開かば、後はきく、きゆですね」

「ううん、きく、きゆ、か。きくとは、菊か器具だな。きゆは消ゆ、か」

「じゃ、全部を繋いで見ますと、こうなります。秘蹟白山窪開かば菊(又は器具)消ゆ」

「これは、大変じゃ」

「何が大変なんですか?」

「まあ、あとで説明するとして、他にはどうかな?」

「他にと言いますと?」

「他にも意味ありげな文章は出来ぬかな?」

「解りました、やってみます」

暫く、試行錯誤を繰り返す内に、

「もう一つ出来ました。こんなのはどうですか?」

「どれどれ」

「しろやまゆきひぼあばききくかくせ」

「これも、しろやま、か」

「白山行き秘墓暴き菊(器具)隠せ、ですか?」

「ややっ、これも又大変じゃ。この二つはセットになってるな」

「セット?」

               続