月
刷毛でなぞったような雲が
月の明るさを際立たせている
太古の彼方から
こちらを見つめて
じっと堪えているような
太古の彼方から
さめざめと降るような金の灯りを
遠慮会釈なく降り注ぎ
ほっ とほぐれる肩の力
月には何の意志がなくとも
見上げる心情は
憂いと感謝と
凛と背を伸ばす決意
ぐらぐらと揺れる華奢な心情をしんとした灯りが包む
あなたも見ているだろうか
君もみているだろうか
空の広さが月を美しく抱きかかえ
煌めく星は
嫉妬しているかのように瞬きを見せる
月の出入りは何かを運ぶ
月の無い夜は心許なく逆立つ心情
あぁ~あれは
忘れ物をしてしまった鈍い自分を厭う心情と似る