せめて心から
読み終えたあと、僕はもう一度オルゴールのネジを巻き、受話器を手に取った。
このとき、僕は彼女に何を伝えるつもりだったのか、彼女は僕にどんな話をしたのか、今では覚えていない。
けれど、受話器の向こうの彼女はとても幸せそうで、僕の中に眠っていた恋心は、人生最高の強がりをみせ、たった一言だけ彼女に告げさせてくれた。
「結婚、おめでとう」
彼女の『ありがとう』という半泣きの返事を聞いて、それからそっと受話器を置いた。
そして、オルゴールが奏でるあのメロディーを聴きながら、もう一度、呟いた。
結婚、おめでとう。
― 絵葉書 了 ―
このとき、僕は彼女に何を伝えるつもりだったのか、彼女は僕にどんな話をしたのか、今では覚えていない。
けれど、受話器の向こうの彼女はとても幸せそうで、僕の中に眠っていた恋心は、人生最高の強がりをみせ、たった一言だけ彼女に告げさせてくれた。
「結婚、おめでとう」
彼女の『ありがとう』という半泣きの返事を聞いて、それからそっと受話器を置いた。
そして、オルゴールが奏でるあのメロディーを聴きながら、もう一度、呟いた。
結婚、おめでとう。
― 絵葉書 了 ―