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非実在青少年のなげき

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読者のみなさま、こんにちは。そちらはどうなっているかは分かりませんが、今、俺が住んでいる日本は大変居心地が悪いです。
 【非実在青少年規制法】というものを知っていますか?
 非実在青少年――つまり漫画やアニメに出てくる18歳未満のキャラクターの性的描写を制限する法律で、昼間から見れない直接的なシーンはもちろん、軽い露出だってお偉いさんの気に障るものなら禁止だとか。それ以外にも暴力とか、喧嘩とか、自殺とか。とにかく反社会的なものを中心に色々制限されます。
 どう考えても少年漫画を潰して小さな子供や大きな子供から夢と希望を奪い取る目的としか思えない法案が、哀しいことに可決されてしまったのです。5年前に。
 その後は、制限対象に入らなかった文芸作品が大流行。表紙と挿絵を捨てたライトノベルを中心に、多くの小説は大勢の人間に読まれていったものです。
 だけど、調子に乗りすぎたのでしょうか。一部の小説の描写が恐ろしく過激になってしまい(よく知らないけど、友人曰く真昼間から読めないくせに夜に読んだら眠れなくなるようなものらしいです)、問題視された結果、とうとう文芸も漫画やアニメと同じ制限を課せられてしまいました。

 表現の自由を保障された輝かしき時代も今は過去。俺の一生は檻の中で枷を付けられて生活するように狭く、息苦しいものなのでしょう。
 だって俺は、この小説の主人公。
 小説の登場人物というレッテルを貼られている限り、俺には喧嘩も恋愛も許されないのです。
 ああ、なんと嘆かわしい! これでも健全な高校2年の17歳、それなりに青春に飢えています。お腹減ったよ、青春ちょうだい、空腹がすぎたら腹と背中がくっついて、挙げ句自分の体をたべ


≪背徳的な表現のため、規制がかかりました≫


 失礼しました。豊かな思考回路というのも意外と不便ですね。
 語り部じゃない奴が鉤括弧(かぎかっこ)もなしに口出しするな! と怒鳴ってやりたい気もしますが、相手が法なので文句は胸の奥にそっとしまい込んでおきましょう。
 とりあえず、この小説は俺、須藤春人(すどうはるひと)の語り部で、制限されながらもメタフィクション全開でお送りしたいと思います。


作品名:非実在青少年のなげき 作家名:森丸彼方