舞うが如く 第六章 4~6
開墾事業は旧庄内藩が総力をあげたものであり、
12名の幹部のもとに、
60~100名前後に分けられた小隊が編成されました。
全体では29組の小隊がつくられ、
2,890名が組織されました。
いっぽう庄内入りをした新徴組は、総勢で136名でした。
このうち戊辰戦争では5人が死亡し、病気などで5名が死亡しています。
妻子たちとともに新徴屋敷に移り住み、松ヶ丘での
開墾事業に従事をしましたが、翌年の7月22日の夜に、
60人近くが集団脱走をしてしまいます。
いずれも慣れない東北地方での
冬の猛吹雪や寒さ、風土になじめないためと思われました。
さらに過酷きわまる開墾の労務にも嫌気がさし、共同謀議のすえに、
発展著しい東京を目指して脱走をするという事態をむかえてしまいます。
しかし、そんな事態の中でも良之助は揺るぎません。
脱走を企てている者をたちを説得するわけでもなく、黙々と開拓地へと
足を運び続けています。
屋敷に戻ってくると近所の子供たちを集めて道場へ行き、
遅くまで稽古の相手などをしていました。
琴も、良之助に就いて農場へ通う日々が続いています。
その日も道場で、子供たちを相手に、稽古の汗を流していました。
一人の剣士が琴を訪ねてきました、
総司の義兄にあたる、沖田林太郎です。
(7)へつづく
作品名:舞うが如く 第六章 4~6 作家名:落合順平