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南 総太郎
南 総太郎
novelistID. 32770
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『暴かれた万葉』 7

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『暴かれた万葉』  7

本多刑事は話を聞いていて、素人ながら思った。

このようなセンセーショナルな新解釈は学術的にどれ程の価値が

あるのだろうか?

何か隠されていた歴史的事実が、この新解釈により陽の目を見る

ことになるのだろうか?

若し、そうなら大変な発見だろうに、老人は無欲にも簡単に披露して呉れた。


ところで、懸案の殺人事件とは、どう言う関わりを持つのだろうか?


「凄いお話に驚いています。ところで、新しい解釈に関連する史実などは

あるのでしょうか?」

「史実? 資料なら有るよ」

「何処へ行けば見られますか?」

「市の図書館で見られるよ。「K城誌」か「K郡誌」と言えば、判る」

「K城誌かK郡誌ですね。有難う御座いました」

「何か聞きたかったら、また、来なさい」

「有難う御座います」


本多は大木老人宅を後にして、早速市の中央図書館に急行した。

他にもいくつか図書館があることは知っていたが。


図書館のカウンターで聞いたところ、「K城誌」は毛筆による草書体で一般向きでは

ないので、「K郡誌」が読みやすくて良かろうと書庫から出して来て呉れた。

昭和二年の発行でK郡の教育会の編纂によるものだった。

本多は、ページを捲ってゆく内に、目を惹くものを見付けた。

(これだ! 大木老人の言っていたのは!)


              続