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雲は。

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 そういえば、周りの雲たちは私に一切近づこうとも話をかけようともしなくなった。
それどころか、鳥もだ。どうしてしまったのだろうか。
考えていても仕方ないので一番気軽に話せるものに話しかけた。
「あの・・・。」
「うわっ!?」
私に気づくなり、とても吃驚したような、それであって意外そうな顔をしていた。
「あ、ごめんなさい・・・。」
「いえいえ、こちらこそ吃驚してしまって…。」
私が話しかけたのは、飛行機雲さんで、一番人間に近い存在だと思い話をかけたのだ。
「えっと…私、…って、何で他の雲や鳥さんに話しかけられなくなってしまったのでしょう?」
「あ、…え?」
「ほら、私って積乱雲なのに他の雲や鳥さんに話しかけてもらえなくて…。」
「あの…積乱雲さん?なのですか?」
「え?」
予想外の言葉だった。もしかして、私を積乱雲と認識されていない?
「いえ、人間のような形をした、それも娘の姿で私のような雲に話しかけてくるとは。」
それも積乱雲と名乗る人間など…と、飛行機雲の言っていることはさっぱり意味が解らない。
「はは…ご冗談を…。」
「冗談では…。」
「では、何か?私が妖怪とでも?」
「そ、その通りでしょう…。それに違和感を感じなかったのですか?積乱雲なのに、他の雲より大層小さい。」
飛行機雲にそう言われると、私は周りを見渡してみるのだ。
「…そういえば昔より少しばかり大きく見えるようになったような…。」
「でしょう?あなたはもしかしたらほぼ人間なのかもしれません。」
に、人間ですって!?私が人間に!?飛行機雲の発言によって、謎の感情は私を取り巻いてゆくのだ。それと同時に内側でばちばちとした、ヘンな感覚を覚えた。
「ほ、本当に!?」
「ただし、完全に人間になることは出来ないと思いますよ…あなたは妖怪に近いですので…。」
「…。」
「あ、いえ、妖怪を隠せばあなただって人間と共存できるかもしれませんよ!」
「人間と共存?」
「…自分にも意味は解りませんが、そう言う言葉があるのです。…と、そろそろおさらばです…私は飛行機雲ですのですぐ消えてしまいます。」
「あの…ありがとうございました…色々教えてくれて。」
「はは、お力になれていれば幸いです。」
そして飛行機雲さんは消えてしまった。
「…よし、人間や妖怪なら自由に動けるかも知れない。」

作品名:雲は。 作家名:蜂乃美