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笑ミステリー 『女王様からのミッション』

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 高見沢はそう開き直られて、さらに思い当たるのだ。
「それとね、『ウユキチ』星の『バンナ・カサオオ』のネット・カフェを経営してると言われたよね。それらもひょっとしたら……『地球』と『大阪・難波(なんば)』の単なる裏返し? それって、オモロ過ぎな〜い!」
 高見沢は条件反射的にそう絶叫してしまった。それに対し、クカンテーツ王子は、申し訳なさそうにほぼ標準語で話してくる。
「もう見破っておられると思いますが、実は『ウユキチ』星から見て、この二百三十万光年先にある地球は、まったく我々の星の裏返しなんですよ。で、最近、東京のスカイ・ツリーが話題になっているでしょ。あれも我々の星のリツ・イカス塔の裏返しということですよ」
 高見沢はこんな話しにズルッとずっこけた。だが尋ねてみる。

「と言うことは、地球とウユキチ星は双子星ということなの?」
「うーん、二つの恒星の重心の周りを軌道運動する連星のことを仰ってられてるのだと思いますが、そんな双子星とはちょっと違うかな」
「じゃあ、双子でもないし、兄弟でも親子でもない、一体我々はどんな星どうしなの?」
「そうですね、距離は離れていますが、鏡面に写ったもう一つの星なんですよ。つまり対局裏返し星ですね。ただ三つ大きく違ったところがありましてね、一つは我々は胎生ではなく卵生、二つ目は我々は美しいグリーン・アイズを持っています。そして三つ目は、申し訳ないのですが、頭脳や文化は、地球の数万倍進んでいるのですよね」

 これを聞いて、高見沢は馬鹿にされているようで、頭にカチンときた。そしてとどのつまり、ついに高見沢はウユキチ星人より数万倍文化的な香りを、辺り一面にまき散らすがごとく唸り返すのだ。
「アホ、ボケ、カス……クソしたゴキブリ!」

 しかし、こんな賛辞を呈した高見沢ではあるが、内心はまことに目出度いことだと思っている。
 クラマが連れ戻してきたクカンテーツ王子。その初対面はこんなドタバタ喜劇のようになってしまったが、クラマは見事に脱皮を果たし、新生クラマ姫となった。 

 そして、永遠に滅びない愛。すなわち、王子からのウルティメート・ラブ・【究極の愛】を手に入れたのだ。
 こんな二人を素直に祝福してやりたい。高見沢はクラマ姫の抜け殻を綺麗にたたみ直し、記念にと二人に謹んで返却する。そして月並みではあるが、そこへ一言添えるのだ。
「おめでとう!」