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笑ミステリー 『女王様からのミッション』

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「バラには青色の発現色素・デルフィニジンを作る酵素がないのだから、遺伝子組み換えでその酵素を放り込む。だけど、それだけではまだ青っぽいだけ。それで一方ではオレンジ色のペラルゴニジンや赤色のシアニジンを作る酵素の遺伝子を殺してしまう。これでもっと青くなり、青バラの完成だよ、万歳! マキちゃん、これ正解だから投げキッス……、ちょうだい!」
「ピンポーン、高見沢さん、アッタリーよ。じゃあキッツイのを投げるわよ」
 マキコ・マネージャーはこう宣言して、高見沢に向けて濃厚な投げキッス一発。
 チュ〜〜〜ッ!

 高見沢はそれをしっかりキャッチして、口に持って行き、パクリ。この二人、ほとんどオタンチン。
 しかし、マキコ・マネージャーはまじめな顔でまだ言う。
「この青バラはね、そうして作ったのよ、どうお、綺麗でしょ。色はコバルト・ブルー、RGB値は、R0/G104/B183というところかな」
「ああ、ホント綺麗だね、それで名前は何て言うの?」

「ウルティメート・ブルー・ローズ(Ultimate Blue Rose)よ。それに花言葉はね、ようく聞いてよ、ウルティメート・ラブ(Ultimate Love)って言うの。赤バラは燃える愛でしょ、これはね、その上を行く【究極の愛】なのよ」
 マキコ・マネージャーはそう独り呟き、セクシーにうっとりとしている。
「深紅のバラ、その愛をも越えてしまったブルー・ローズ。そして、その花言葉は【究極の愛】、それってマキちゃんにぴったり似合ってるよ」
 高見沢はこんな歯の浮くような賛辞を贈り、「この青バラをお土産にね、こんな作戦持っていたのなら、もっと早く言ってくれよ」とちょっと不満気。

 しかし高見沢は、初めて青バラを手にして大感激。青バラから癒しの芳香が放たれきて、二人を包み込む。そして徐々に、二人は落ち着きを取り戻して行くのだった。
 今は互いに、ほっとした気分。
 マキコ・マネージャーが「はい、これで頑張ってきてちょうだいね」と[のぞみ]のチケットを高見沢に渡してくれた。そして高見沢はすべてを納得をしたかのように呟く。
「うーん、青バラ作戦か、これぞ、【マメで、ヨイショで、プレゼント】のプレゼントの真髄だ」

 確かに出発前にドタバタとした。しかし、グリーン・アイズ・プロジェクトはこの青バラ作戦でよりシュアなものとなり、本格的に動き始めたのだった。