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南 総太郎
南 総太郎
novelistID. 32770
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『暴かれた万葉』 2

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『暴かれた万葉』 2


その祠とは、この神社の五十二代目神官の三男として生まれた、

麻倉祥雲を祀ったものである。

祥雲は、若い内から経書、医術を学び、医者として、師弟の教授も

した程だが、後に医儒学から転じて国学を極め、詩歌を能(よ)くした。

国学を興立すべしと、幕府に上進したこともある。

晩年は、江戸に出て、国学と漢学の講師となり、門人多数であった。

世に益する著書も多数に上る。

文化十年(1813年)七十五歳で卒している。

死後、境内に一祠を建て、霊神として祀られたものである。

祠の中には、祥雲を象った小さな木像が祀ってあったと言う。


何故、誰が、こうした物に火を付けたのか?

この祠を狙っての火付けか、それとも偶々この祠だったのか?


結局、何も解らず仕舞いの侭、この小さな火災事件は時と共に忘れ去られて行った。


                  続