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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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年賀状

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一枚の年賀状


10年ほど前の事である。
私が花の手入れをしていると、40歳くらいの女性に声をかけられた。
「すみませんがこちらの自動車工場はお休みですか」
「えぇ、日曜日は休みのようです」
「このあたりに自動車の修理工場はありますか」
「どうしたのでしょうか」
私は車のセールスをした経験があるので、訊ねてみた。
「車のエンジンがかからなくなってしまったのです。そこのスーパーに買い物に来たのですが」
「お困りでしょう。ちょっと待って下さい。みてあげます」
私はバッテリーではないかと思いブースターケーブルを持った。
女性を車に乗せ店に行った。2,3分の所である。
「この車です」
まだ新しそうな車である。
私は女性から車の鍵を借りた。
エンジンをかけたがセルが回らない。
やはりバッテリ-である。

作品名:年賀状 作家名:吉葉ひろし