アンハッピーニューイヤー
冷めてしまった、とあいつは言った。
どーせほかの男が好きになったんだろはっきり言えよボケって感じ。
わかってんだぞお前が隣のクラスのサッカー部の○○のこと好きなのは!
ってなわけでクリスマスの予定はパー。
家で家族とクリスマス。
なんてつまんねーんだろ。
去年はあいつと一緒に過ごした楽しいクリスマスだった。
今年は違う。
いつもよりちょっと豪勢な食事、クリスマスケーキ。
どれも味気なかった。
冬休みに突入した。
友達が誘いの電話をかけてきた。
うわさ好きなあいつらのことだ、どうせ俺がフラれたことも知っている。
だがそのことに関しては何も言わなかった。
気を使ってくれたらしい。
その誘いを断って俺は家にこもった。
ぼーっとしてた。
心がすかすかなんだよ。
どうすりゃ埋められるんだろうねこれは。
そうしてるうちに大晦日。
こたつに入って紅白歌合戦を見てた。
あんまり歌には興味がないが、何もしないでいるのはつらいから。
今年は白組が勝った。
どーでもよかった。
紅白歌合戦のあとはゆく年くる年だった。
108回の鐘を鳴らすあれだ。
108回目の鐘は新年になってから鳴らすんだぜ。
こんなこと知ってても何の価値もないけどさ。
親がつまらないからチャンネルを変えようとした。
自分はなんとなく止めた。
ホントに意味なんてなかった。
鐘の音を聞きながら彼女のことを思い出した。
いや、「元」彼女か。
ただ楽しかった。
あいつといるだけで楽しかった。
それももう終わり。
終わってしまった。
どうやらそろそろ新年らしい。
107回目の鐘が鳴る。
アンハッピーニューイヤー、俺。
108回目の鐘が鳴った。
おしまい。
作品名:アンハッピーニューイヤー 作家名:うろ