話の海を泳ぐ
とても狭く、とても白い。
壁にはビスが均等に打ってある。
トイレほどのスペース。
僕は一人
その部屋に座り込む。
一冊の本がある
小さな話が幾つもある本だ。
どれぐらいの厚さなのかもわからない。
どこまで話があるのかもわからない。
僕はいつもダイヴした。
がんがんがん。
音がする。
がんがんがん。
ドアの外から。
たったひとつのドアの外から。
「僕は自分の話を書けるようになにました。」
がんがんがん。
それでもまだ、僕の中にはあなたがあるようなのです。
がんがんがん。
僕を呼ぶ僕の音がする。
どうやら外は広いようだ。
小さくて、幾つもある広い真っ白な空間を真っ黒なモノ等と泳いだから
なんとなく
解かった気がする。
がんがんがん。
ノックが僕を急かす。
部屋に亀裂が入り箱が空くように部屋は開いた。
ドアはただの飾りであったようだ。
必要な不必要なものだったのだろう。
そうだ。外は広く色とりどりだ。
しかしまた、
僕はいつでもあの小さな場所にダイヴする。