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てっしゅう
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「初体験・佳恵編」 第三話(最終回)

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「そんな事なさらなくても宜しかったのに・・・ありがとうございます。遠慮しないでね、挨拶が済んだら佳恵と部屋に行って下さい。ご飯が出来たら呼びに行きますから」
「はい、ありがとうございます」
「雄介くんはどこの大学目指しているんだい?」貴雄は気になったことを聞いた。
「はい、志望は京都産業大学ですが、この頃難しいと聞きますので・・・一応近大と併願しようと思っています」
「そうかい。近大は私の母校なんだよ」
「そうでしたか?何学部だったんですか?」
「経済だよ。君の志望はなんだい?」
「情報処理です」
「ほう!コンピューターか?これからだからな有望じゃないか」
「入れればですが・・・」
「大丈夫だよ。しっかりとしているようだし、頑張りたまえ、応援しているから」
「嬉しいです。そういえば佳恵さんとは大学の話をしてなかったなあ・・・」
「佳恵はそのまま短大へ行くから君とは違うよ」
「女子はいいですね、そういうところがたくさんありますから」
「まあな、勉強より花嫁修業だからな、大切なことは」
「そうですか?今は女性だって仕事をやりたいって考えているんじゃないんですか?」
「そういう人も居るだろうが、大半はお嫁さんに憧れているよ、なあ?佳恵」
「お父さん!私に振らなくてもいいでしょ」
「だって・・・そうなんだろう?」
「今のところ結婚願望はあるけど、少しは働いてみたいって思うよ」
「程ほどにしてくれよ。早く結婚して孫の顔が見たいし・・・」
「まだそんな事早いよ。恥ずかしいし・・・」
「お母さんだって学校出てすぐにお父さんと結婚したんだから・・・早くなんて無いぞ」
「あなた、時代が違いますのよ。そんな事仰って・・・佳恵が可哀そうでしょう」
「そうかな・・・まあいいか。雄介くん今日はたくさん食べて帰ってくれよ。じゃあ佳恵のことこれからもよろしく頼むよ」
「はい!こちらこそ・・・」
「雄介、私の部屋に行こう」
「ああ」

二階に上がって佳恵は綺麗に片付けた部屋に案内した。
「綺麗だなあ。ちゃんとやってるんだ掃除とかは」
「うん、汚れているのはイヤだから」
「いいことだ。俺の部屋なんか・・・散らかっているから大変だよ」
「今度行って片付けてあげる」
「サンキューそりゃ助かるわ」
「今日はありがとう・・・雄介って優しいから好き」
「当たり前だよ、佳恵が大好きなんだから・・・キスしていい?」
「うん・・・」

雄介はスカートの中に手を入れた。右手でその手首を掴んで佳恵は「イヤ」をした。
「お父さんに聞かれるから辞めて・・・」
「何を聞かれるんだ?」
「もう・・・知ってるくせに」
雄介は十三での佳恵のことを思い出した。一度目は自分もすぐに果ててしまったので感じなかったが、二度目は少し長くいられたから佳恵が感じる声を出していたことに気付いた。そのことを気にしているのだろうと思った。

「声を出さなきゃいいだろう?」
「嫌なこと言わないで!次は雄介が好きなところに連れて行って・・・今日はいや」
「こんなに大きくなっちゃったよ・・・どうしよう・・・」
「変態!バカ・・・」
佳恵は身体を離して、雄介と向かい合った。今すぐにでもベッドであの時のようにして欲しかった佳恵だったが、自宅では無理だと言い聞かせた。

「佳恵!支度が出来たわよ、降りてらっしゃい」
母親の声が聞こえた。雄介と一緒に食卓に座って和やかに話しながら時間が過ぎていった。
最後に父親の貴雄が頭を下げて雄介に言った。
「今日は本当にありがとう。佳恵は君のことが好きなようだから、悲しませることが無いようにしてやって欲しい・・・この通りだ」
「お父さん・・・すみません、おじさん、俺の方こそ佳恵さんが好きだから大切にしたいって思っています。今度家に来て欲しいと思いますので誘いたいのですがいいですか?」
「そうか、ありがとう。ぜひそうしてやってくれ・・・今回の事は堪えたよ。佳恵がいつまでも子供だって考えていたからな。雄介くんのお陰だな、こうして妻とも話せるようになったし、家族がしっかりとつながってゆけるように感じられる。君のご両親やご兄弟がとっても素晴らしいと思えるよ。感謝しないといけないよ。おせっかいなことだけど・・・大切なことなんだからな」
「はい、父とはあまり話しませんが、母親とは何でも話しています。俺も弟や両親の事大事にして行きたいと思っています」
「偉いなあ・・・俺も君のような息子が欲しかったなあ、今からじゃ無理だろうけど」そう言って優美子の顔を見た。

「あなた、何を仰っているの!恥ずかしい・・・」
「なんで恥ずかしいんだ?」
「お父さん!もう辞めて雄介の前で・・・私が一番恥ずかしいから」
四人は顔を見合わせて笑った。

「雄介、きょうは楽しかった。ねえ、今度はいつ逢えそう?」帰り際に玄関先で佳恵は尋ねてきた。
「ああ、日曜日にバイトがあるから・・・部活を終わった土曜日にでも逢おうか。なるべく遅くならないようにするから」
「うん、私は部活やってないから何時でもいいよ。これからは・・・電話して。もう大丈夫だから」
「そうするよ。俺のところにも電話していいよ」
「雄介今月誕生日だったよね?プレゼントしたいからその日かちょっと前に逢えない?」
「覚えてくれていたんだね、ありがとう。24日が土曜日だからその日にしよう」
「24日ね。何が欲しい?高いもの買えないけど、梅田で一緒に買い物しようよ・・・欲しいもの探そう?」
「そうするか・・・じゃあ、3時ぐらいに約束しよう。部活は適当に終わって間に合うようにするから」
「ほんと!大丈夫なの?」
「もう三年生はノータッチだからな。特に決まっている予定もないし、大丈夫だよ」
「うん、じゃあ・・・楽しみにしてる」
「俺もだ。帰るわ」
「さようなら・・・気をつけてね」

雄介が見えなくなるまで手を振って見送っていた。その姿を優美子は見て、佳恵が幸せになって欲しいと心から思っていた。自分には恋愛の思い出が無かった。好きになってと言うよりは紹介されて交際してすぐに夫と結婚した。19歳でまだ世間も知らない娘だったことを思うと、佳恵にはこれから少しでも長く雄介と恋愛をして青春を楽しんで欲しいと思えた。

次回「初体験・万博編」第一話に続く