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お昼を食べたいところ

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私の近所には喫茶店がある。喫茶店というのはむろん喫茶店である。みなさんは喫茶店がイメージできるだろうか。そして、そこに入りたいと思いますか。
 えらそうな質問だが、私は喫茶店に入ることが残念ながらできない。しかし、これでも幼稚園くらいのときは祖父に連れられて何度か入ったことがあるのだ。そこから喫茶店好きになったわけではないのだが、私は喫茶店に非常にあこがれを持っている。なににあこがれると聞かれても、そこで恋人とお茶したい(今もこの言葉は通用するのだろうか)とか、そこのマスターと世間話ができるほど仲良くなるとかそういうものではなく、そこでご飯が食べたいのである。
 喫茶店にある軽食と分類されるものに私はあこがれを持っている。ピラフ、スパゲッティ(できればナポリタン)、カレーなどだ。それくらい自分で作ったらどうだと言われそうだが、喫茶店で食べるから意味があるのだ。カレー屋はカレー屋でまた別のものであると思うし、スパゲティ屋にナポリタンは未だに見たことがない、ましてやピラフなど喫茶店以外で食べられそうなところを思いつかない。知ってる方は教えていただきたい。今上げたものは冷凍またはレトルトで済ませられるものだが、それでは物足りない、何かが欠けている気がする。
 今度は、では食べに行け、と言われそうだがそれができれば苦労はしていない。行こうと思えば行けるのだが、若者が一人喫茶店に入るのはやはり勇気がいる。まず、喫茶店には他に若者がいないのだ。みんなファーストフード店に行くらしく喫茶店は古くさいそうだ。しかし、いたらいたで目を気にしてしまうのでこれは微妙なところである。紅茶をすすりながら読書している女子が1人いれば十分である。あと、あの独特の雰囲気。喫茶店はどこも少し薄暗い気がする、暗い方が落ち着くとかそういう意図があるのだろうか、怪しげなムードが出るだけではないのか。そして何やら舶来という言葉が似合う家具でる。そこに違和感なく存在するにはヒゲの一つでも生やさないといけないのではと思う。
 私は学生なのでいつも構内で食べるより他ない。食堂のランチにケチをつけるわけでは決してないが、私は喫茶店に行きたい、そこでお昼を食べたい。しかし時間帯が合わないのだ、学校帰りのおやつにしてはボリュームがあり、夕飯に差し支える。好きな子に告白できない純情少年の心持ちである。この気持ちはいつも喫茶店のそばを通るときに息をとめてしまうくらい考えるのだが、今日もまた入れずに前を通り過ぎるのであった。そして、その近くの定食屋に行くのだ、今度はカツ丼でも食うか。
作品名:お昼を食べたいところ 作家名:ぱっち