笑っとこ!
ピッ!ハザードランプが点滅。車のドアが開錠された。
彼と微笑み合いながら、車のドアを開けるM子。
(ま、待ってよ)の声など掛けられる訳もなく、彼とM子は左右のドアから乗り込んだ。
乗り込んだ・・・そのまま・・・ふたりは近くなる・・・あーキスをした。
この一行に『間』と『溜め』がどれほど含まれているか。読者はたっぷり味わって欲しい。
体勢を整えてエンジンをかける彼。
助手席でシートベルトを留めるM子。
動き出す車。白く排気ガスを残し駐車場を出て行った。
やっと特売のトイレットペーパーの山から動いた私は何か落としたかのように辺りを見た。
(恋に落ちた私の抜け殻落ちたかな・・・)と思ったかどうかもわからない。