2006-2010 詩集Ⅱ『そら』
後書/そして、言葉は紡がれ続ける
X.
前略
きみと別れてからもう5年になります
私は今、きみの書き綴った言葉達を改めて眺めて
まるで其処にいるきみが全くの別人のように感じながら
ならば私は一体何を持っているだろうと
きみの代わりに持ち出した やけに重い鞄を覗き込んでいました
しかし、肝心の鞄はほとんど空っぽ。
あの頃のきみのほうがずっと持ち物は多いのじゃなかったかと
一体この5年間の『私』はどうだったのかと
振り返ってはひどく羨ましい気分がしていて
けれど、きっとそれも幻想なのでしょう。
大丈夫、5年前のきみが教えてくれる
私が書き進めた言葉、物語、または形にも残らないものたち
それらは確かに私の中に存在していて
あれから様々なことがありました
きっと君には信じられないことも たくさん
例えば、馴染みある街がごっそりと消えたこととか
私がこの世界から3日間消えていたこととか
けれどそればかりではなく、憧れの場所で働くことができたこととか
嬉しいことも 驚くことも
waver,color,tropes,parting,love
fantasy,melancholy,flowers,story,そしてmyself
本音を言えば、まだ着地点など見えていないけれど
そんな自分が情けなくなる日もあるけれど
それでも、言の葉を連ねるきみ自身には強く誇ることが出来ています
たとえ今後何年が経ったとしても
感謝してもしきれないことでしょう
だから私も、きみの信じた道を
これからも 一歩でも長く歩いて行けるように
今日もまた 細々とペンの先を走らせるのです
December 16, 2011
2006年に生きた きみという私へ
作品名:2006-2010 詩集Ⅱ『そら』 作家名:篠宮あさと