みち
「待ちくたびれたー」
私は、棒立ちのまま赤紫色の痕が、黒くなり始めたのを見上げた。
「どうもお世話になりました」
私を連れ込んだ男に 深々と頭を下げるのは、私のかっこいい彼。
彼は、私の頭にぽんと押さえるように手を掛けると、くしゃくしゃとやった。
苦笑いは、やがていつも通りの優しさを取り戻し、私も微笑み返した。
「良かったな、いい人に会って」
私は、頷いた。
【本日は、ご来場ありがとうございました】
「なかなか、出来のいいアトラクションだったな」
ライトも消えてしまった看板 『 巨 大 迷 路 』
− おしまい −