OATH~未来につなぐシルベ~序章(後半)
序章 第6話-『記憶を取り戻す』旅へ!-
■サウスマリー フィーリング道場 道場館内<シーンNo.6-1>
朝。
リディア、フェレルはダンに呼び出されて、フィーリング道場に来た。道場の館内はとても広く、練習器具もあり、武術訓練を受けるにはもってこいの場所となっている。
そこに二人は呼び出されたわけだが、まだ師範であるダンの姿がない。二人は道場の中心で正座して座っている。(右側にリディア、左側にフェレル)
リディア(う~、遅いなあ・・・・・・早くきてよ~)
隣でうずうずしているリディアを見かねたフェレルは小声で、
フェレル「リディア、がまん」
リディア「(小声で怒っているように)わかってるわよ!」
リディア、姿勢を立て直す。
そして、ダンが奥の扉から現れる。
ダン「待たせたな」
リディア「やっと来た~。あ~足がしびれる~」
リディア、正座をくずす。
ダン「リディアにしてはよく耐えたな、30分正座」
リディア、「当然!」と言わんばかりの威張った態度で、
リディア「へん!あたしだって、これくらいできるわよ!」
フェレル「ま、いつもなら5分足らずでアウトだけどな」
フェレル、涼しげな表情で正座をくずす。
リディア、ムカッとする。
リディア「うるさいわね~一言多いわよ!」
フェレル「俺はホントの事を言ったまでだ」
リディア「フン!イーっだ!」
リディアはプイッと怒った表情で右方向に顔を向ける。
ダン、呆れる。
ダン「(小声で)全く・・・・・・これから先、大丈夫なのか」
フェレル「へ?」
ダン「いや、こっちの話だ。それじゃあ、発表するとするか」
リディア「いよいよね!」
ドン、と昨日リディアたちが探した宝箱をダンは、二人の目の前に置く。
ダン「この中におまえたちの『これから』が入っている。合格して旅に出れるか、それとも不合格で再び訓練を受けることになるか・・・・・・さあ、開けてみるがいい」
フェレル「リディア、おまえが開けろよ」
リディア「あ、あたしが!?・・・・・・いいの?」
フェレル「ああ、いいぜ」
リディア、宝箱を見つめる。
リディア「う~緊張するわね~」
リディア、ゴクリと息を飲む。
そして、覚悟を決める。
リディア「よ~し、いくわよ~!」
リディア、箱を開ける。
リディア「たあっ!!」
二人はおそるおそる宝箱の中身を見る。
宝箱の中には賞状と認定証が入っていた。
フェレル「これは・・・!『武術訓練認定証』とその『賞状』!だ」
リディア「ホントだ!!!・・・・・・と、言うことは・・・・・・」
リディア、ダンを見つめる。ダン、リディアたちに微笑ながら、
ダン「ああ。二人ともよく頑張ったな。卒業試験、合格だ!」
フェレル、微笑む。
リディア、思わず立ち上がり、喜びを表現。
リディア「いやったーーーーーーっ!!!!!」
喜びを表現するリディアをフェレルは冷静に、
フェレル「リディア、はしゃぎすぎ!」
ダン「まあ、いいじゃないかフェレル。今日ぐらいは」
フェレル「ま、まあ、『約束』通り、旅に出られることだしな」
リディア「素直じゃないんだから」
ダン「これで、晴れて二人は旅に出られるわけだが、俺から一つ提案がある」
リディア「提案?」
ダンはある団体の手続き書をみせる。
その手続き書を二人は見つめる。
リディア「民衆自警集団『ジャスティス』・・・・・・『ジャスティス入団推薦状』!?え?あたしたち、入団できるの!?」
リディア、驚きを隠せない。
『ジャスティス入団推薦状』を見て、フェレルも驚く。
フェレル「マジかよ・・・・・・!」
ダン「おまえたち二人の資質を見込んでな・・・・・・二人で組んで行動するなら問題ないしな。依頼をこなしながら世界を回ることもできるし、民衆からリディアの探している、『あの男』の行方を掴(つか)めるはずだから、悪い話ではないだろ?」
リディア「(興奮しているように)うん・・・・・・うん!!」
ダン「どうだ、入団してみるか?」
リディア「(興奮しているように)あったりまえよ!もともと『ジャスティス』に憧れて、武術を習いにきたんだから!」
ダン「言うまでもないか。フェレルはどうだ?」
フェレル「ああ。俺も『ジャスティス』入団を目標としていたからね。民衆のために-人のために、俺に何ができるのかを見出してみたいし。それに・・・・・・」
フェレル、リディアを見つめる。
リディア「・・・・・・?」
フェレル「・・・・・・こんな後先考えない、命知らずな『ワガママ女王様』をほっとくことができないからね」
フェレルの毒舌にカチンとくるリディア。
リディア「だっ、誰が後先考えないワガママ女王様よ!!」
フェレル「本当の事を言ったまでだが・・・・・・?」
リディア「(怒りながら)ムッキーッ!見てなさいよ!絶対に『ジャスティス』で、フェイを見返せるくらい成長してやるんだから!」
フェレル「まっ、頑張れ」
リディア「フンだ!」
この会話を見て、ダンは呆れてしまう。
ダン「全く・・・・・・本当に『ジャスティス』でやれるか、不安になってきたな・・・・・・」
※このまま、イベントが進む。
■サウスマリー 広場<シーンNo.6-2>
噴水の目の前。
左側にはシスター(手前)、ダン(奥)。右側にはリディア(手前)、フェレル(奥)。
シスター「(寂しそうに)もう・・・行くのね・・・・・・」
寂しそうな表情で二人を見つめるシスター。
それを振り切るくらい、笑顔で接するリディア。
リディア「そんなに心配しないでシスター。絶対にまた、帰ってくるから!!」
フェレル「シスター、リディアには無茶させませんから安心してください」
リディア「(ブスーっとしたように)何よ、保護者面して」
フェレル「しょうがないだろ。おまえは精神的にまだまだ子供だからな。それに実際、俺の方がおまえより一歳年上だし、精神的にもおまえより上だしな」
リディア「上から目線で言われているみたいで、なんか、ムカつく・・・・・・」
シスター「ふふふ・・・・・・フェレル君、よろしくお願いね」
フェレル「はい」
ダン「くれぐれも油断のすることないようにな。おまえたち二人の成長を楽しみにしているぞ」
リディア「うん。頑張る!!」
ダン「それじゃあ、まずはここから北の方角にある築城都市『マノーラ』へ行け。そこで、『ジャスティス』に入団するための第一関門、『支部別第一次試験』をその街にある『ジャスティス支部』で受けてこい」
リディア「うん・・・・・・って、ええ~!まあた、試験があるの~?」
ダン「生半可な覚悟じゃ、人の助けなど無理だということだ」
リディア「ちぇっ。分かったわよ~」
シスター「じゃあ、これを渡しておくわね。きっと、貴方(あなた)たちの役に立つと思うから」
リディア、シスターからお金と地図と役に立つ回復アイテムを受け取る。
フェレル「助かります」
リディア「ありがとう、シスター」
シスター「あなたの『記憶』が取り戻せるように、祈ってるわ。リディア、いってらっしゃい」
作品名:OATH~未来につなぐシルベ~序章(後半) 作家名:永山あゆむ