小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

魔王の遺し物

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

 身動きもできない鈍痛を体感しては、笑い声とからかいに言い返す気力も出てこない。うずくまる俺をよそに、相棒はまだぐーるぐーると喉を鳴らす。のんきなもんだ。
「あ、雪降ってる」
 神器からはい出た俺を迎えたのは、ねえちゃんのさらなる冷やかしではなかった。視線を追えば窓の外、夜にはまだ早いのに点灯している街灯の明かりと、そこにちらつく小さくて白いもの。
「ほんとだ! 相棒、雪だ雪!」
 相棒を引っ張り出して、俺は窓にはりついた。風はないようで、雪ははらはらと舞い落ちてくる。
「まだ積もんなそうだけどなー。あ、おい」
 普段から抱かれるのが好きじゃない相棒だ。前足で胸を押してきたので、仕方なく放してやった。すると相棒は神器に直行する。さらに言えば、神器の布団にとっぷり浸かっているねえちゃんのそばへ。……ん?
「ねえちゃんなにちゃっかりあたってんだよ! ねえちゃんのは別にあるだろ!」
「だってお父さん、まだ出してくれないんだもん」
 相棒はそんなねえちゃんの脇から、もそもそと中へ侵入していく。なんか悔しい。
「あんたも入んなよ、あったかいよー」
「誰が用意したと思ってんだよ!」
 でも入る。誰でも神器の大いなる力の前には無力だ。
 布団を押し上げた途端に、温風が誘いかけてくる。負けた。この時点でもう負けた。
 足を突っ込めば、中央に陣取った相棒が寝そべっていた。こちらに腹を向けていたので、両足を軽く押しつけてみる。さすがは毛皮つき生体湯たんぽ、予想通りの弾力。眠りにいざなう喉鳴らしの振動つき。
「あったけー」
「みかんないの?」
「ねーよ」
 確かリビングにあった気もするが、今の俺には何を言っても無駄だ。神器の餌食になり果てた俺にはな。
作品名:魔王の遺し物 作家名:透水