washsanta
ローズは貧乏な家に育ちました。
その名前が本名なのかどうかは解りませんが、街の人は皆そう呼んでいました。
彼女は10歳でした。
学校から帰ると、バラの花を売りに歩いていました。
一軒一軒ドアをノックして
「バラの花入りませんか」
と声をかけて回りました。
「3本ちょうだい」
そう言ってくれる人はそう多くはありません。
「また来たのか、うるさい」
そんなふうに叱られることも度々でした。
ローズの手はバラの刺で痛々しいほど傷だらけでした。
明日はクリスマスイブと言う日
雪が降って来ました。
寒くて凍えそうです。
まだ一本も売れません。これでは継母に叱られてしまいます。
雪のなかを一人の大きな男の人が歩いてきました。
「お嬢さん、その赤いバラの花全部頂くよ」
ローズはその言葉を疑いました。
いままでに「お嬢さん」だなんて言われた事も無かったことだし
50本の花が一度に売れた事も無かったのです。