2006-2010 詩集Ⅰ『あさ』
Rebirth/前書に代えて
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世界のはじまりの色を、僕は知らない。
燃えるような赤だったのか、凄寥たる青だったのか。
あの太陽のように黄金に輝いていたかもしれないし、
あの月陰のように真白く儚かったかもしれない。
全てを生み出す黒か、全てを眩ます虹色か。
見守っていたはずの何億年前の自分に問いかけながら、
現代の僕は、この空の色で精一杯だと首をふる。
どこからか繋がった糸電話。
風砂と共に断ち切られた回線は、ただの飾りだったことを今知る。
何年生きていても、僕が理解することなどこのノートで足りてしまう。
そして、最後まで埋まらない解答欄に溜息を。
朝焼けの赤だろうと、帳の青だろうと、
いいかげんな自己回答を入れてしまうくらいなら、
僕はまた何億年と待って、
世界の終わりの瞬間のその色こそを書き込んで。
ただ、君が微笑んでいられる結末を求めるのだ。
その有限な永遠の先へと導きながら。
『December 19, 2010 -- Rebirth』
作品名:2006-2010 詩集Ⅰ『あさ』 作家名:篠宮あさと