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舞うが如く 第三章 13~15

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舞うが如く 第三章
(13)鬼の副長


 「近藤さん。
 もうあなたは雲の上の人だ、
 生身の身体じゃない。
 デンと構えて、下界を見下ろしてください
 万事はこの土方が、片付けます。」

 新撰組で鬼の副長と呼ばれ、
もっとも恐れられたのが、この土方歳三です。

 芹沢を暗殺した以降、権力を握った近藤が局長となり、
歳三は副長の地位につき、局長近藤の右腕として
京都の治安維持にあたりました。



 新撰組は、副長助勤、監察など
職務ごとに系統的な組織作りがなされ
頂点は局長ですが、実際の指揮命令は副長の歳三から発したとされています

 新撰組内部では、常に新撰組の規律を隊士らに順守させ
規律を破った隊士には、たとえ幹部の人間で有ろうと切腹を命じており
隊士たちから恐れられていたといわれています。
 実際、新撰組の死亡原因の一位は切腹であったともいわれ
脱走者は切腹または、惨殺後見せしめにすることもありました。


 芹沢鴨の死亡する前後に、隊士は60名を超えていたのですが、
近藤が実権を握って以降、大量の脱走者が出はじめました。
この年6月には、すでに48名までに減少していたのです。
土方の指揮のもと、敵対者を粛清して排除するというやり方と、
「法度」と呼ばれた鉄の規律の徹底ぶりが
新撰組の内部においても、数々の悲劇を生みだす原因となりました。



 ともあれ、幕府から正式に認められた新撰組は
京都所司代・直轄の正規部隊として、洛内の警護と治安維持のために
長州や土佐の勤皇派や過激攘夷派の探索にのりだしました。