春の始まり。
若い侍だった。
「おや? おーいみんなー!ここにあったぞー!!」
若い侍が大きな声で言うと、戦から生き残った沢山の人々がこちらにやってくる。
まだいた。
人がたくさん生きていた。
「よかったな!桜の木、一本だがまだ生きてるぞ!」
「あぁ、この村もまた復興できる!」
「またこの村を桜の木でいっぱいにしたいな!」
「今年の春はこれからね!御馳走作らなくちゃ!」
人々は皆嬉しそうにこういった。
「あぁ。お前の仲間も今すぐ、増やしてやるからな!!」
若い侍はそう言って、私に触れた。
それはとても温かく心地が良かった。