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一之瀬 優斗
一之瀬 優斗
novelistID. 28513
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怖がり。

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僕に体温をわけてくれる人

誰でも良かった

この手を優しく掴んでくれるなら 誰だって良かったんだ



君を失うことがなにより怖くて 君が僕の中で息をするのが嫌だった

近しい存在になるほど 欲が出る

全部が欲しくて すがりつく手は汚れていて だから君に触れることはしない

僕は傲慢で強欲で 世界の真ん中に君を置くだろう

大事にして優しくして甘やかして 僕だけの君であることを望むんだ

僕以外を見ないで 僕以外の声を聞かないで 僕だけの君でいて

それはとても悲しいことなのだと知っている

だから僕は その感情をやり過ごしていた

大切な君を苦しめるとわかってる

僕は汚いってわかってる

君を押しつぶす前に 僕はどこかへ埋まればいい

深く深く冷たいところへ



誰でも良かった

この腕に一時つかまってくれるのであれば

逃げても逃げられても痛くない相手であれば良かった

満たされない心は 満たされることなど望んではいない

失う痛みから逃れるために 僕は君に触れない

僕の世界に君を生かさない
作品名:怖がり。 作家名:一之瀬 優斗