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舞うが如く 第2章 13~14

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舞うが如く 第二章
(13)鬼の、詠む歌

 のちの新撰組で
「鬼の副長」として恐れられたのが土方歳三です。
生まれは1835年(天保6年)、武蔵の国の農家に生まれました。
6人兄弟の末っ子であるとされてきましたが、
近年になって、実は10人兄弟の末っ子で
あることが判明しました。



 土方家は「お大尽(だいじん)」と呼ばれた
多摩の豪農でしたが、父と母が早くに他界したために、
次兄の喜六と、その妻の・なかによって養育されました


 少年期の歳三は、触ると痛い茨(いばら)のように
乱暴なところがありました。
生家には竹を植え、大きくなったら武士になり、
植えた竹で矢をつくると高言してはばかりませんでした。

 数え年の14歳から24歳までの10年間は、
江戸上野の「松坂屋いとう呉服店(現在の松坂上野店)」
に奉公に出ていたという記録が残っています。
 その後、歳三は実家秘伝の
「石田散薬」を行商しながら、各地の剣術道場で
他流試合を重ね、修業を積みます

 真紅の面紐に、朱塗りの胴皮などの
洒落た防具を使用しており
対戦相手は一様に「この洒落者が」と見くびりましたが、
いざ竹刀をまじえるとたちまちのうちに、
手痛い目にあわされました。
その、得意技はもろ手突きだといわれています


 姉の、のぶが日野宿の名主、
佐藤彦五郎に嫁ぎ、歳三も良く出入りしていました。
この彦五郎が大火に乗じて命を狙われたこともあり、
いらい天然理心流に入門し、自宅の一角には、
試衛館の出張道場も建てました。
そんな縁から、近藤勇とも義兄弟の契りを結んでおり、
天然理心流を支援することになります。

 歳三は、その道場に指導に来ていた近藤と出あい、
安政6年(1859年)3月29日に正式に入門しています
文久元年(1861年)、近藤が天然理心流の宗家4代目を継承した記念に
紅白の野試合が催された時には、
歳三は紅組の大将を守る役で出場しています。