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舞うが如く 第2章 4~6

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舞うが如く 第二章
(4)欲しければ取るがよい

 
 道場では、正眼に構えたままの琴が動きません。
大上段に構えた、武州の剣客も動けません。

 しばしの間、お互いの呼吸を計りながら
時間だけが過ぎ去っていきました。
じりっと前にせり出してきた、武州の剣客の剣先を
軽くあしらうように、琴が半歩を下がります。

 さらに踏み込もうとするその瞬間を、見逃すことなく
琴が、反撃の一歩目を踏み出します。
その気勢に押されて、武州の剣客が元の間合いに退きます。
踏み込もうとすれば、またさらりと後ろに下ってしまい、
もう一歩踏み込もうとすれば、その矢先に押し留められて、
再び、押し返されてしまいます。

 こうした数度のやり取りの末に、
先に琴が仕掛けます。


 琴の木刀が横に流れました。
目線の高さを維持しながら、
逆手に握って、そのまま突きの構えに変わります
さらに腰を落として、体勢を低く構えました。
踏み込んだ琴の前足は、じりっと前に進みます。

 顔面を紅潮させた武州の剣客が腹をすえました。
気合一閃、ふりかぶった大上段から、まさに渾身の力を込めて、
木刀を振り下ろしました。
その刹那、琴の切っ先も、相手の喉元めがけて
鋭く飛んでまいります。

 踏みとどまり、大きく後方に飛びのいた武州の剣客が、
肩でひとつ、大きく息をつきました。
呼吸を整えつつ、再び木刀を正眼に構えます。