『偽りの南十字星』 25
村田は昨夜藤堂社長の自宅へ電話した。
或る方策を提案し、藤和の危機を救うには、それ以外にはない事を強調した。
但し、それを成功させるにはジャムティワンの協力が絶対不可欠。
しかし、ジャムティワンは藤和を恨んでいる。
それを、説得せねばならない。
彼が果たして説得に応じようか。
それが問題である。
先ずは、ジョニーを役員に戻す。
それも平の取締役ではなく、専務程度ぐらいにまで昇格させる。
所詮、藤和が縁を切る事が目的だから、いっそ社長でも良いくらいだが、
余り極端ではBKPMに説明しにくい。
損得勘定には頭の働くジャムティワンだから、ネシア・パイン社が
只で手に入る話に乗らぬ筈がないと見る。
藤堂社長はOKした。
宜しく頼む、とまで付け加えた。
さて、愈々例のガルーダ国内便で、ジャカルタへ乗り込む。
結果が吉か凶か、当たって見ねば判らぬが、これだけは吉でなければならない。
続
作品名:『偽りの南十字星』 25 作家名:南 総太郎