僕のあこがれ
彼女は僕が持っていないものをたくさん持っていた
ぼくには手がなかった
彼女にはあるのに
物を触って、つかんで、投げて、
でも僕にそれがない
僕には足がなかった
彼女にはあるのに
歩いて、走って、ジャンプして
でも僕にはそれがない
僕には鼻がなかった
彼女にはあるのに
臭いをかぐという行為は僕には理解できない
そして僕にはそれがない
僕は彼女への思いを抑えきれず、一度だけ彼女の前へ姿を現した
彼女は言った
「いやっ!化物!」
彼女の言葉の意味は分からなかったけど、その時彼女の顔はひどくゆがんでいた
僕が好きな彼女はそんな顔をしない
ずっと笑顔でいてほしかった
彼女の笑顔が続く方法を考えた
そうだ
僕がいなくなればいい
僕が彼女の前へ現れなければ
きっと彼女はずっと笑顔でいてくれる
僕はもう何年も彼女に会っていない
彼女の笑顔も忘れてしまいそうだ
僕はどうしてここにいるのだろう
僕はだれのために
僕は