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南 総太郎
南 総太郎
novelistID. 32770
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『偽りの南十字星』 24

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『偽りの南十字星』 24

宗像は陳英明の事務所には余り訪れないが、ジャカルタから帰って来て直後、
久し振りに陳に会いに階段を駆け上った。

一階上のこじんまりした部屋である。

電話中の陳が宗像の顔を見て、片目を閉じた。
一寸待ってくれと言う意味らしい。

秘書が大きな湯飲み茶碗にお茶を入れて応接セットのテーブルに運んで
来てくれた。蓋を取ると、茶葉がいっぱい浮いている。
そう言えば、以前台湾に出張したとき、支店のお茶がこれと同じだったっけ。
蓋をしたまま、隙間から少しづつ飲むのがコツらしい。

電話を終えて陳が向かいのソファーに腰を下ろした。

「どうしたの。珍しいですね。ゴルフの誘い?」
「いえ、ゴルフは腕が違い過ぎるから。今日は、一寸お願いがあって」
「ほー、宗像さんが、どんな?」
「ジャムティワンに連絡取って貰って、就労ビザ関係の仕事をもっと真剣にやる様
頼んで貰えませんか。期限が切れた、うちのスタッフが一人警察に捕まっちゃって」
「ほー、そりゃ大変ですね。でも、私から言ってもね。彼、藤和に不満があるんでしょ」
「それは、彼も言ってました。役員変更の件で」
「そうでしょ。お宅の会社は海外での遣り方を知らないんですよ。私だって、同じですよ。
副社長の椅子から無理やり引き摺り下ろされたのですからね。中国人は面子を重んじる
民族であることを、よく解かっていないようですね。藤和は」
「だめですか?ジャムティワン説得は?」
「一応彼に話してみますよ。結果は兎も角」

ひどくアッサリした陳の対応に宗像は落胆した。
(これじゃ、期待出来ないな。シアンターのスタッフは、次々に逮捕されかねないだろう。
とんでもない事になって来たな)

                              続