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南 総太郎
南 総太郎
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『偽りの南十字星』 19

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『偽りの南十字星』 19


タイ産のパイ缶のニュースは、藤和産業本社及びネシア・パイン社の関係者全員を驚愕させた。

2割近い価格差が、何故可能なのかを調べたのは、陳英明だった。

それによると、従来タピオカ生産に注力していたタイ政府は、パイナップルに対する世界的な需要の旺盛さに気付き、急遽タピオカ畑をパイン畑に変えるよう方針変更したと言う。それには、当然政府から助成金が出ている訳で、それが、価格差の大きな理由であるとの事。
ネシア・パイン社は、この強烈な競合相手の登場に如何に対応するか、と言っても余りにも弱体化しているのが実態である。

この危機を知って、早速反応を示したのは、シンガポールのパートナーだった。
合弁事業から下りると言い出した。
勿論出資金を返して貰いたいとの要求だったが、交渉の結果かなり減額して藤和が株を買い取った。
ただ、崔は本人の希望でそのまま現地に残った。

これで、ネシア・パイン社は、実質的に藤和だけの出資となった。

陳の場合は、現物出資だが、設備一式相当額を台湾の国強に支払っている。

この出資比率の変更により、役員の変更が行われ、村田がネシア・パイン社の社長
の肩書きで現地入りする事になった。

一方、従来のネシアパートナーのジャムティワンは、会長職に祭り上げられた。
尤も、従来から社長とは名ばかりで、終始ジャカルタの自宅で過ごした。

更に、永田は退任し、陳英明にも藤和は退任を求めた。
これに対し、陳は一応留任を希望したが、藤和の役員会は永田の説得にも拘わらず予定通り陳を外した。

又、ネシア・パイン社の銀行借入金の金利負担軽減策として、借り入れをネシア・パイン社から藤和本社に切り替えることにした。このため、藤和が借入金と同額の金を借り、そっくりネシア・パイン社シンガポール支店に送金、即日銀行のシンガポール支店に振り込み返済した。



                            続