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恋をしている奴は誰だ

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その日は朝から悠が寒い寒い頭痛い、と騒いでいて、みんなからマフラーをかき集めて頭から首までグルグル巻きにした状態でリーディングの授業を受けていたら先生に激怒されたりなんかして、そうやって笑っているうちはよかったけど、昼飯の時間には本格的におかしなことになっていた。
いつもなら率先して弁当を広げる(あるいは学食へ走る)悠が机に伏せたままピクリともしない。

「マジで具合悪かったんだな」
「バカのくせにな」
将平と聡は笑いながら弁当を食っている。全く大したことじゃないと思っているんだろう。俺だって本当はそう言って笑いたい。なんか、こういうことでいちいち真剣に心配したりするのは恥ずかしいからだ。だけど俺は生まれつき心配性で、特に悠のことに関しては心配せずにいられなかった。なんでか知らないけど。
だから俺はいったん箸をおいて立ち上がった。

机の横まで行って悠の顔を覗き込むと、目をつぶった悠は確かに具合が悪そうだった。
「熱あんの?」
悠の額に手を当ててみるが、熱いのか普通なのかよく分からない。

「保健室行くか?」
「……行かない」
「つぎ体育だけど。出れんの?」
「……出れない」
「じゃあどうすんだよ」

イライラしながら言うと、悠は消え入りそうな声で「死にそう」とだけ呟いた。
悠は俺に甘えている。俺が甘やかすからだ。悠は俺が何とかしてくれると思っている。いつだって、何でも。


悠の腕を掴んで無理やり立たせながら、呑気にメシを食っている将平と聡に「中野くん早退しましたって青田に言っといて」と言うと(青田は体育教師の名前だ)、聡が「『結城くんはそれを送っていきました』もな」と言ってヒラヒラと手を振った。


悠の家はチャリで10分。
この時間は確かおばさんもパートに出てて家にいないから、途中で薬とかポカリとか買って行ったほうがいいのか?なんて俺が考えていることも知らないだろう悠は、俺の漕ぐチャリに大人しく揺られている。


「純太ぁ、どうしよう」
そう言いながら突然 悠が俺のブレザーの裾を思いっきり引っ張った。
「危ねぇな!なんだよ」


「俺、純太のことすごい好き」

なんか俺まで具合が悪くなってきた。だって心臓が痛い。
作品名:恋をしている奴は誰だ 作家名:浅野