ガン隊!
事の発端は僕達が在学している大学の校内だった。
「三園、 お前今週の土曜に予定ある?」
「んー? いや、 なんもないけど」
「じゃ、 決まりだな。 来週の土曜の9時に駅に来てくれ、 絶対な!」
「え、 いやちょっと、 え!? 待ってよ、 笠原君!」
いきなり駅に来いとだけ言ってどこかに言ってしまったのは友人で中学時代からの友人、 笠原。 腐れ縁で大学まで一緒になった。 それもあってかよく絡んでる。
――約束の日、 9時過ぎ――
「お、 いたいた。 おーい、 三園〜」
「笠原君! 自分で約束しといてなんで遅れてくるのさ!」
「わりぃな、 昨日興奮して寝れなくってさぁ」
「興奮? なんで? てか、 今日ってなんの用事があるの?」
「へ? 言ってなかったっけ」
「言ってないよ! 今日9時に駅に来いってことしか!」
「そうだったけ、 いやマジで悪いな。 実はさ、 三園をサバゲーに誘おうと思ったから」
「さばげー?」
なんだそれ、 さばげー…… 鯖? 鯖になんか関係あるのか?
「鯖…… ってなんのことだ?」
「サバゲーだよ、 サバゲー。 サバイバルゲームの略」
「サバイバルゲーム…… ってあの銃みたいなのでお互いを撃ち合うやつ?」
「ざっくり言えばそんな感じだな。 銃って言ってもエアソフトガンっやつだし、 弾もBB弾だし。 ゴーグルとかプロテクターは装備として必要だけど特にゴーグルは」
「あああ、 そこまで! 一気に言われても分からないってば!」
「ん? そうか。 まぁフィールドに着いてから色々教えてやるよ。 あ、 フィールドってのは会場みたいなもんだから」
「え、 あ、 うん。 分かった」
……って何分かったって返事してるんだ僕!
――――――――――――
「とうちゃ〜く! ほらほら何ボーッっとしてんだよ三園!」
「あぁ…… うん」
なんだかんだで結局来ちゃったし、 あぁもう、 駅のとこで断っておけば良かったな……
「あとはもう歩いてすぐだから! ほら行くぞ三園!」
「はいはい……」
笠原君、 生き生きしてるなー…… そういえば大学でもあんなに生き生きしてなかったような…… そんなにサバゲー好きなのかな……
「着いたぞ三園、 じゃあさっそく着替えよーぜ!」
「え、 着替え? ってちょっ、 待っ」
「早く早く!」
――――――――――――
「はいこれ、 この服着て。 んで、 これがゴーグルとプロテクター。 ゴーグルは絶対しとけよ? BB弾つっても目に当たりゃ無事じゃすまねーから。 最悪の場合、 失明」
「さらっと怖いこと言った?! てか失明ってマジ?! 怖ッ」
「だからのゴーグルだろ。 ま、 プロテクターは無くてもサバゲーはできるけど」
「あ、 これエアガンな。 これ無いと攻撃できねーから話になんねーぞ。 今日は俺の予備のやつ貸してやるから。 あ、 でも貸し出してくれるとこもあるし…… どうする? 見てく?」
「いや、 これでいい。 サンキュ」
――――――――――――
着替えを済ませて、 屋外のフィールドに来た僕達。 怖そうな人沢山居るのは予想通りでやっぱ怖いし今すぐにでも逃げたい……
「三園、 今日は外だけどインドアゲーム…… 室内でやるほうだってあるからな。 ちなみに俺と三園はチームってことにしたからな。 2人しか居ねーけどまた誘うし」
「え、 いや勝手に決めないでよ!? もう来たくないから!」
「まぁそんなこと言うなって! やってみなきゃ分かんねーだろ? ほら、 始まるぞ……始まった、 行くぞ!」
「え!?」
ダダッと走り出す笠原君。 僕もそれに続くように走る。 BB弾が発射される音が響く。 もっと騒がしいものかと思っていたけど、 むしろ皆、 真剣な顔で格好良いなんて思ってしまう。
「三園、 隠れろ! 相手のチームが居た!」
笠原君が、 静かでも強く言った。 それに反応してつい言うとおりにしてしまう。 隠れていると本当に相手のチームの人が来てキョロキョロと周りを見ている。 ふと笠原君を見ると、 ニイッと笑っていた。 その直後、
「…………よっしゃ、 行くぞ!」
「え!? 笠原君!?」
笠原君のエアガンから、 ダダダダダッとBB弾が連射される音がする。 僕はというと、 立ちすくんでしまって動けない。 でも、 目の前に広がる光景に目を奪われていた。
「……すごい」
この瞬間、 僕はワクワクしていることにはまだ気が付いていなかった。