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ながっちょ
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one`s heart 2話 刻む天才

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女の子から見て左側にある、シンバル?にペダルがついてるやつを指差した。そのハイハットっていうやつを女の子が踏むと、「ヂヂッ」と音がした。

「こいつを踏みながら叩いてみて。」と杉内先輩が叩くジェスチャーをしながら言った。

すると「チャチャッ」と音が変わり、よく聞こえてくるドラム音になった。

「そうやって、チャチャチャチャチャチャチャチャ」のリズムで叩くんだ!

それで今度はこいつ『スネア』だ。」叩いてみて!と杉内先輩が女の子を促す。

「バンッ」と大きな音が響いた。

「それじゃあ、さっきのハイハットをずっとやってて。」


チャチャチャチャチャチャチャチャ


「こいつをさっきのハイハットの三つ目のリズムにいれるんだ。」


チャチャバン チャチャバン


「センスよくない?(笑)」

杉内先輩が他の先輩に笑いながら、話した…

「最後にこっからが難しいところで、一番真ん中にあるバスドラを、ドン ドンドン のリズムで踏んでみ。」

先輩の言った通り、中央にでっかい太鼓みたいのがあって、そいつの前に、ペダルが置かれていた。

女の子は、そのペダルを言われた通りに踏んでみた。

「ドン。ドン。」と低い音が心に届く。

小学校のなんかの行事で和太鼓の音が心臓に響くように聞こえた経験があった。だけどそれより低く、心に溜まるような音だった。

なんだろう。いまの話を聞いただけでリズムが自分の心の中に生まれた。

太鼓の達人ができるわけじゃない。 むしろ音ゲーができないのに自分の中でリズムがちゃんと生まれたんだ…不思議なことに。

女の子はまったく違ったリズムを叩いている。たぶんバスドラがうまくはいんないんだろう。

すると。

「つぎそこの男のコいってみよーか!」

「俺っすか!?」順番はあっているけど、いきなりで驚いた。

するとツンツンが「行ってこい!」と笑いかけながら、押してくれた。

ドラムの前に座るとひだりにハイハットがある正面にはバスドラが… 自分が小さく見えた。

「とりあえず、説明した8叩いてみー」

言われるままに、ハイハット…

そして、スネア…

最後にバスドラ…

自分の中のリズムを表現した。
するとすべての謎が解けたかのように。

すべてのスイッチがつながった回路が電球を灯すかのように。

いわゆる奇跡かもしれないけど、なぜか当然な感覚がした。

しばらくドラムを叩いてみると、杉内先輩が。

「もしかしてドラムやったことある?」

今日二回目の質問にも「やってません。」と答えた。

そうして、その場にいるすべての人が自分をみてるのがわかった… 気まずい…

「次の人はさっき人みたいに叩いてみー!」杉内先輩が差したのは、こっちを見て「すごいなぁー」と言いたそうなツンツンだった。

ツンツンはこっちを見て「見てみ!」その瞬間。当然が起きた。

俺のリズムをツンツンは、当然のように叩いている、そしてドヤ顔…

「パチパチパチパチパチパチ」と先輩たちから、そして一年生かも拍手が起きた。

「君はドラムやってるよね?」杉内先輩が笑いながら聞いた。

「はい、まだまだですけど…」ツンツンが半分照れながら答えた。

こいつ、ドラムやってたのか!!

「なんか数分間くらい叩いてみてよ!」杉内先輩の意見というには先輩たちからの要望のようだ。

ツンツンは叩き始める…

それはみんなの期待に応える軽快なリズムだった。この曲は!

「ダンデライオン!」

一年生の誰が言った…

「体験入部おもしろかったな!」
満面の笑みでツンツンがいってきた。

はっきしいってツンツンがダンデライオン叩き終わった後からなにか心にモヤモヤがかかった。

そのモヤモヤのせいで、体験入部の内容をいまいち思い出せない…

「まー、普通に楽しかった。どーしようかな、あした。」

「それじゃ明日から、俺と一緒にドラムやんない!?叩いてたとこみてたら、センスがある気がするだ。」

ツンツンが誘ってきた。

「いいよ!叩いてたのしかったから、これから一緒に行こうか!」実際楽しかったけどなにより、もっとツンツンのドラムがみたかった…

「いいよ!あのさぁーメアド交換しない?」

そういえば、お互いの名前も知らなかったっけ…

「目黒雅志?よろしく!気軽にながっちょでいいから…」

「そうだよ!俺も気軽にマサでいいよ~」

「了解!また明日!」

「おう!また明日~」

いつもの学校の前の信号は明るく、青に変わったような気がした。