叶うなら、
もしも願いが一つ叶うと言われたら、
俺は終わらせてくれと願うだろう。
全部全部、何もかも終わらせてくれと願うだろう。
たった十数年の人生に悔いが無いなんて訳は無いけれども。
何となく、もういいんじゃないかと漠然と心の中で思うのだ。
勉強もそこそこやって、恋愛もそれなりにして、画面の向こうの政治家に何となくケチを付けて、もう少しだけゲームがやりたかったなんて些細な願いを白紙のノート端に書いたりして。
時間が進むのが速いだとか遅いだとかを妙な具合に共感してる怠惰な学生のうちなら地球が爆発したとしても大した後悔はしないと思うのだ。
いい意味でも悪い意味でも現代っ子なものだからこう思うのかもしれない。
大人が聞いたらろくでもない事を考えるな、命を大切にしろと言うのだろうけど、やっぱり俺は願いが一つ叶うなら終わらせてくれと願う。
きっと大人になったら欲が出てきて、綺麗な奥さんが欲しいだとか子供は二人欲しいだとかもっと出世したいだなんて考えるだろうから、そんなんで終わりが来たら今よりも比べ物にならないくらい後悔するだろうから。
だからこそ今のうちにしか出来ない俺の願いは、終わらせる事なのだ。
(願いは終焉)