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ちょびっつ
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novelistID. 33451
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突然革命事実 第三話

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屋上





四階建てのこの学校の屋上は意外にも生徒に解放されている
ほかの高校は大抵屋上に上がることを禁止させられているらしいから珍しい

昼休みが中盤に差し掛かっているため廊下ではしゃぐ生徒がやけに目立つ
女子の黄色い声を無視しながら俺は階段を上った

なぜか俺は女子達の間で「クールな写真王子」という別名で通っているらしい
ちなみに宇佐美は「絶対な王様」、壱塚は「クールな唐突第二王子」らしい
女子ってよくわからない

まあ性格的に的は射ている
宇佐美の性格は自己中心的なもの
壱塚は普段こそしゃべらないもののしゃべるときはひどく唐突に的確なことを指してくる
俺はわからないが確かに写真は好きだ
自前のカメラをいつも持ち歩いているくらいだし

俺が撮る写真はほとんどが風景ばかりだ
空が特に多い
だから毎日屋上に通いつめてるわけだが




冬も色濃くなってきた今、さすがに屋上に上がるものはいない
パシャリ、とシャッターを切る
無機質な音とは裏腹に柔らかな空の色が画面に映し出された
冬の空は少し薄い色で見ていて飽きない
強い日差しの夏の空も好きだけど物悲しい程度の冬の空のほうが俺には合っている気がした



「う~ん…」



うめき声のような音が聞こえた
とっさに後ろを振り返る

しかし、そこには誰もいない
寒々しい一陣の風が吹くだけだ
でも、無性に気になってこの位置から見えない、ドアの上
はしごがつたっているから誰でもいけるそこに行ってみた

俺の聞いた声は聞き間違いではなかったようで
こんな寒い冬空の下で彼は横になって目を瞑っていた

ここにいるのは意外だといえる宇佐美だ
いつもつるんでいる金髪の男、緋兎月 有馬(ひとつき ありま)の姿がないのが不思議に思えてならない

規則正しい寝息を立てている宇佐美を起こす気には到底なれない
今更動いてしまうのもあれなので仕方なくその場に座り込んだ

整った顔立ちにすらっとした体つき
本当に美形のすべてを持ち合わせている男だと思う
性格があれじゃなきゃもっとよかったんだろうけど
そう思うと苦笑が浮かぶ



「ここは…」



起きたのか宇佐美が目をこすりながら声を上げた



「屋上だ」



短く端的に場所を行ってみた
すると、ひどく驚いた表情を見せた
目を丸くしてカッと見開いて、きれいな顔が台無しだ



「なんで…お前がここに…」



状況が把握できず途切れ途切れに宇佐美はつぶやいた
まあ普通の反応だろう
眠っていて目が覚めたら傍らに見知った顔が座っているんだから
でも、宇佐美がそんな表情をするとは思っていなかったから意外だ

とりあえず素直に質問に答える



「声が聞こえたから様子を見に来た。そしたらお前がここに」



すべてを言い終わる前に声が出なくなった
唇には冷たいがやわらかい感触
宇佐美の顔が近くにあるのを見てやっとキスされているのだと気づいた



パシャ



そして、その場に不釣合いなシャッター音が聞こえた

唇が離れて数秒後思考が回らなくなった俺は不意に宇佐美の顔を見た
すると、酷く不敵な笑みを浮かべて



「お前は俺のものだ」



とつぶやいた
手にはカメラ
わざわざ画面をこちらに向けて口元を隠す
その姿が妙に色っぽい

そして、そのカメラの画面には俺とあいつのキスシーンが写っていた……


―――――――――――――――――――――――――――
――――
――
あとがき

宇佐美君なんかおかしいなぁ
さっきまで混乱してたのにどうしたんだろう…

とりあえず進行させやすくはなったんですが(←おい!

読んでくださってありがとうございました!!