青い春
そんなとこに登ってさ。
手を離したら落っこちまうに決まってる。
男であることを示す為にそんなことしちまってさ。
誰よりも長く、誰よりも空に近づいてみたかったのか。
俺は走った。
おまえに言いたかった。
おまえに告げたかった。
俺も一緒だ。
おまえと一緒にいたかったって。
でもそんなの恥ずかしいだろ。
そんなこと言わなきゃいけなかったのか。
口にしなくてもいいと思ってた。
つながってるはずだと信じてた、俺たち。
覚えてるか。
ガキの頃、おまえが手を伸ばしてくれた。
あの時から俺はいつもおまえとつながってたんだぜ。
そうだろ。
「どっかへ行っちまえ」
そう言ったのは俺だった。
「ここが大好きなんだ」
おまえはそう答えた。
「俺も・・・」
その言葉は飲み込んだ。
屋上はさ、空に近いんだ。
いつもさ、あの場所でおまえの髪を切ってやったけ。
おまえ嬉しそうに笑ってさ。
俺がわざと間違えて切っても笑ってたよな。
おまえ、なんで俺から離れたんだ。
いや違うな。俺が離したんだ、おまえの手を。
煙草の先を触れあって火を点け合うのは
俺たちがつながってるのを確かめるのと同じ。
そうだろ。
おまえ、待ってたのか、俺のこと。
馬鹿だな、俺。
もっと早く行くべきだった。
知ってたのに。知ってたのに。
おまえが俺を待ってたこと。
太陽の下で、夕暮れの風の中で、冷たい星に濡れて、また朝日が昇るまで。
待ってたことさ。
誰よりも多く手を叩け。
誰よりも遠くこの場所から離れて。
誰よりも空に近くまで。
手を叩け。手を
そして
跳んだ。
飛んだ・・・・・・・・・・・・・・・・アオキ
逝くな
イ・ク・ナ・アアアアアアアアアア
空は青く
飛行機がおまえをつれていった
おまえの声
クジョー、俺も連れてってくれよ
おまえの影に桜が散る