唐突絶対結論 第二話
お人形のボク
ねぇ…ボクの人生って何でこんなにも無情なんだろ
誰も答えてくれるはずのない問いを投げかけて苦笑する
だってボクは…ただのお人形なんだもん
家を出て雪那の家に行った
冬だからまだ道中は真っ暗闇
突然、怖くなる
だって母達が喧嘩をするのはいつもボクがベッドに入った後の暗闇の中だったから
聞きたくもないのに耳を塞いでも聞こえてくる
飛び交う罵声とものを投げつける音
相手を貶す事しか考えていない言葉と見なくてもわかる憎しみの色
きっと互いに血走った目を向けているに違いない
ねぇ…どうして、一緒にいようと思ったのさ
ボクにはきっと恋人(そんな人)なんて現れないんだね
だってお母さんとお父さんの子供なんだもん
捻くれた性格も男勝りを演じていることもしゃべり方も全部
全部、全部、全部…あんた達のせいなんだ …
冷たくなった手をこすり合わせ那賀に冷たくなった手をこすり合わせながら雪那の家に急いだ
カサカサと乾いた音がする
暗闇が怖くなって逃げ出したかった
醜いことを考えている自分がいやだった
なんて…自己中な人間だろう…ボクは…
午前六時五分
雪那の家に着いた
インターフォンを押すと決まっておばさんが笑顔で迎え入れてくれた
紙に「智紗ちゃん、おはよう」と書いて挨拶してくれた
おばさんは数年前事故にあっておじさんと声と片方の聴力を喪った
しばらくは戸惑っていたけれどおばさんは頭が人一倍よくてもうかなりの手話を覚えている
ボク達はまだ「いってらっしゃい」しか覚えてない
だから気を使って毎回紙で会話をしてくれる
時間がかかっても言葉が交わせることは少しうれしかった
六時二十分
おばさんと一緒にご飯を作り始めた
今日は珍しく洋風な朝食でパンケーキ
和だけじゃなくて洋なものにも挑戦してみようと思ったらしい
おばさんが手際よく材料を混ぜている傍らボクはフライパンに油を垂らしてキッチンペーパーで薄くのばした
それを火にかけて暖めておく
材料を混ぜ終わったおばさんが高い位置からゆっくりと流し込んでいく
一定の大きさになったところで入れるのをやめて弱火にセットした
それからふつふつと生地がら泡が出てくるまで待ってくるりとひっくり返す
きれいな焦げ目がついてこの時点でおいしそうだ
お皿に乗せて次の生地をまた流し込む
おばさんが紙を持って「雪那を起こしてきて」といった
「わかった」と簡単な返事を残してボクは雪那の部屋に向かった
案の定あいつは眠っている
布団に包まってひどく幸せそうな顔してた
そこでもう決まり文句と化した言葉をかけた
「おーい、起きろこの大馬鹿者」
こいつはこの言葉で必ず目が覚める
「ほかの言葉はないのか?」といわれたこともあるがこれ以外の言葉をかけて起きたためしがないから仕方がない
雪那を起こしておばさんのいる一階に降り、朝食をとった
おばさんの作る料理はやっぱりおいしい
でも、まだボクは雪那がいないと物を食せない
雪那も同じらしい
厄介な体質を持った二人だと思う
でも仕方ない、これがボク達だから
七時四十分
学校に行く時間になった
おばさんが「いってらっしゃい」と手話でいってくれた
ボクらは「いってきます!」と大声で叫んだ
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あとがき
なぜなんでしょう
書いていくとどんどん重く…
つぎはあんまり重くならないように書きたいですね(汗
ちなみに雪那の苗字の「黄昏(こうこん)」と
智紗さんの苗字の「暁(あかつき)」は対義語にしてみました!
特に意味はないんですが(汗汗
読んでくださってありがとうございました!
作品名:唐突絶対結論 第二話 作家名:ちょびっつ