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ちょびっつ
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novelistID. 33451
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当然の彼方 第三話

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喫茶店




人目が気になったあれは最寄りの喫茶店に入った
そこのマスターとは気があってよく話すから通いやすい店

開店は午前六時からとかなり早いから学校に行く前に立ち寄ってたまにコーヒーを頼んだりしている


だが、今はそれどころではない
乱暴に店のドアを開け、ズカズカと店の奥へ進んでいった

女の手を引いたまま店に入ったせいでマスターが少し驚いたような表情になった


「お前が女を連れてくるなんて珍しいな、彼女かい?」


と、表情をにこやかに戻し冷やかしを入れてきた
「そんなんじゃねぇよ」と適当に返して俺は一番奥の定位置にこいつを座らせ
、向かいについた

気分を落ち着けたくて紅茶を頼む
マスターの入れるコーヒーや紅茶はほかの店とは一味も二味も違うから好きだ

注文をして程なく、二人分の紅茶が用意された
たぶん癖の薄いアッサムだ
初めて来た客だから癖の少ないものにしたんだろう

その行為をありがたく思い、カップに口をつけて一息

ほんのりと香りが口全体に広がりのどに落ちていく
柔らかいにおいが口に広がり、ほっと安心する


やっと落ち着いてきはじめた
冷静に保とうと俺は女に声をかけた


「お前は誰なんだ?」


当然出てくるシンプルな質問
そして、ある意味不自然なものでもある

突然手を引いたまま喫茶店に入ってきたのに俺はこいつの名前すら知らない


知っていることといえば夢の中に出てきたということだけだ
その不思議な格好の意味も
どうして名前を知っているのかも

何もわからない


女は口につけていたカップを離し、帽子を取って女は言葉を発した


「私は…ソエル・リィ・ヴェルフェルク。この名前に聞き覚えはありませんか?」


声は冷静を装っているのにカップを持つ手は小刻みに震えていた
確かに聞き覚えはある

でも、明確にわかるものじゃない
ぼんやりともやがかかったようにその部分の記憶があいまいだった


「一応、聞き覚えはある」


女の表情がぱぁーっと明るくなった
何がそんなにうれしいのだろう


「よかった、名前だけでも少しは覚えていてくれたのですね!貴方に会うための十年間が無駄にならなかったようです!!」


きゃっきゃとはしゃぐソエル
ひどく子供らしい姿だがなんとなく、年季がこもっている気がする

なんでなんだ?

わかるわけもないのに自問自答する
答えがほしいというよりは何か考えていないと落ち着かなかった


「シオン、」


名前を呼ばれ、ふと顔を上げる

すると視界いっぱいにソエルの顔があった
唇にやわらかいものが触れる

気持ちがよくなって気が遠くなりそうで…
その状況を一瞬理解できなかった


キスされた

気づいたときにはもう唇が離れた後だった
あわてて意味もなく唇を手で覆う

ソエルはただにこりと笑って何事もなかったかのように紅茶を口に運んだ


わけもわからず混乱する俺は馬鹿らしいのだろうか?


もう…わけがわからない



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――――
――
あとがき

突然キスされてしゅうりょーう!!
さてさて、なぜキスされたんですかねぇ←ウザッ!

まあ御ふざけも大概にしまして

読んでくださってありがとうございました!
作品名:当然の彼方 第三話 作家名:ちょびっつ