蒼刃
慶応三年の夜は、墨を垂らした様な闇で、何も無しでは一寸先も見えない。
都である京の夜も、ご多分に漏れず暗く深い。
だが、今日の様な妙月の蒼夜である場合は話が違い、随分と見通しが良かった。
この鮮やかな闇を、男が三人歩いている。
先を歩く者は、身なりも豪奢であり、随分と酒を食べたらしく、足取りが危うい。
朱の鞘と金象嵌の鍔、華やかな拵えの差料で、洒落た武士に見える。
後ろ二人は自然体の者と少し緊張した様子の者で、最後尾の緊張している者は提灯を携え、ひたひた歩く。
二人は浅葱色にだんだら模様の羽織りを着ている。
都である京の夜も、ご多分に漏れず暗く深い。
だが、今日の様な妙月の蒼夜である場合は話が違い、随分と見通しが良かった。
この鮮やかな闇を、男が三人歩いている。
先を歩く者は、身なりも豪奢であり、随分と酒を食べたらしく、足取りが危うい。
朱の鞘と金象嵌の鍔、華やかな拵えの差料で、洒落た武士に見える。
後ろ二人は自然体の者と少し緊張した様子の者で、最後尾の緊張している者は提灯を携え、ひたひた歩く。
二人は浅葱色にだんだら模様の羽織りを着ている。