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【Livly】誰も知らない物語

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ぼくの、ともだち


ジョロウグモは、きっと自分が死んだと思っていた。
本能的に、あの変わったピグミーの島に乗り込んでいた。島主自体を殺して乗っ取ってやろうとも考えた。
しかし、実際体力はほとんど残っておらず、その場で意識を失ってしまった。
きっとあのピグミーに・・・いや、それはない。あいつは変わっているが、見たところ攻撃技すら出来ないほど弱いのだから。
追いかけてきたブラックドッグに殺されたんだろう。
だったら眠ったまま死ぬことが出来てよかったかもしれないな、と思っていた。
なのに、目が覚めた。
その覚めた方の世界が夢に思えて、辺りを見回す。
体を見る。
・・・白い布のようなものが巻いてあり、それはツンとする匂いがした。嗅いだことのないものだ。

「あ、おはよう!」

気の抜ける明るい声。
まさか、と思ったが、振り向くとあの黄色いピグミーがいた。

「えへへ、ぼく、ちりょーって技使えないんだけど、薬草ならしってるんだぁ。
 時間かかるけどほーたいも巻いといたし、きっとすぐに良くなるからね」

ジョロウグモは彼を睨みつけた。でもルチルは首をかしげ、「嬉しい?」と笑った。

「お前は何を考えている」

ジョロウグモが呟く。
ルチルはそれでもまだ「嬉しい?」と同じ言葉を繰り返し尋ねた。
しかし、そっとジョロウグモの長い爪に触れる。
攻撃以外でリヴリーに触れられたのは初めてで、その温もりに無意識にジョロウグモの体が抵抗をした。
しかしルチルは痛いことをするわけでもなく、黒い爪をそっと自分の胸元に当てた。

「ねえ、ぼくたち、ともだちになれるかな?」

今少し力を込めれば、きっとこの小さな胸など簡単に貫いてしまえるだろうとジョロウグモは思い、そして実行しようとした。
しかし、目に入った体を巻きつく包帯が、彼女にそれをためらわせた。
リヴリーに助けられるなど思わなかった。
こいつは本当に心底馬鹿なのか、狂っているのか、それとも騙しているのか。
わからないが、ジョロウグモは伸ばした爪を、下ろした。