アキオロボット
第二条 ロボットは人間の命令に従わなくてはならない。ただし第一条に反する命令はこの限りではない。
第三条 ロボットは自らの存在を護(まも)らなくてはならない。ただし、それは第一条、第二条に違反しない場合に限る」
博士はふっと息をついた。
「アキオはこの原則によって作られている。判ったね」
ぼくは小さく頷く。ぼくが是枝博士に危害を加えるはずがない。
是枝博士は時々塀の外へ出て行く。でも長く家を空けることはない。
いつしか庭の花が咲き変わり、木々の葉が違う色になってみんな落ちてしまった。
ぼくの身体は少しずつおかしな音がするような気がする。あちこちが軋んでくるような、そんな気がするのだ。
でもそのことは博士には言わない。
博士は毎晩、風呂に入る。時々ぼくを一緒に入れることもある。その時にぼくは博士を受け入れることが多い。
「綺麗だな。アキオは滑らかで。柔らかくて、こんなに細い」
ぼくはの機能はおかしくなっていってるのかもしれない。
ある晩、博士は一人で風呂に入っている。ぼくはそこへラジオをでなければドライヤーを投げ込む。
これは「前にお兄ちゃんから聞いたんだ。お風呂の中にラジオを落としたら感電死するって」
長いコードを見つけてぼくは「博士に危害を加えた」
電話をした。
一時間後。ぼくはパトカーに乗って塀の外へ出た。
ぼくを迎えてくれたのはパパとママとお兄ちゃんだった。
みんなは長い間、ユクエフメイになっていたぼくを探していたんだ。
「明弘。大きくなったのね」
ママが涙ぐみながら言う。
そうだ。いつの間にか背が伸びていた。
ぼくはもう「ロボット」じゃない。
でも今でもぼくは博士を受け入れる夢を見る。