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定期便。

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昨年の秋は北の大地で
赤いもみじが私の秋で
黄色の銀杏も私の秋で

風が頬をかすめていけば
どこか心細くて
雨など降れば
今度は哀しくて

涙ぐんでも何の解決にもならなくて
ぐずぐずと躊躇う足下の冷たさは
あの時の感受性

蔦の赤を求めても見当たらない
あの赤は北の大地の赤だもの
次の秋にはあの地に立って
思い切り赤を抱えてみよう

捨てないで来てみたら
次の行き先を探し出せて
ささやかな幸せを噛みしめる

この地の秋は霞んだ色でゆるゆると訪れる

北の大地で憧れた山茶花はこの地で豪華に咲き誇り
歩く私の満足を誰に知らせよう
椿の硬い蕾は早くおいで と冬を待っているようで
ポロリと落ちる椿の潔さを何年ぶりに見るんだろう

季節の歩みは夫々に幸せを微かに撒き散らす
時の巡りの晴れやかを
共に受け取れる幸せを
誰に届けよう

  ランチョンマットに落ち葉を重ねて
  この地で見つけた椎の実と
  過ぎた秋、北の大地で見つけた椎の実を
  並べて写真に写し摂り
  私の秋よ と送り届ける

もう北の大地は雪だろうか
作品名:定期便。 作家名:ぱーる