1枚の絵
リトグラフであった。当時はバブルでもあり、30万円くらいの値がついていた。
ちょっと名の知れたものはなかなか手が出ない。
長谷川キヨシの銅版画などははがきの大きさで100万円以上した。
リキテンシュタインの絵は白と黒と黄色の線が少し曲がって縦に書かれているだけのものであった。ただ見ていたがそれほどの感動は受けなかった。
何しろ誰にでも描けるようなものだったのである。
僕は題名を見てあっとした。
「アパルトヘイト」
描かれている内容が解った。
具象画は解りやすいが、抽象画は難解である。
ただ何となく感じれば良いのだろうが、内容が解るともっと親しめる。
文学も芸術作品となると理解できないものが沢山ある。
クラシック音楽と歌謡曲
純文学と娯楽小説
しかし芸術性を除けば、人の心に感動を与える事は同じことのように思われる。
ただ思考するか、単純に感じられるかの違いのように思う。
文学的となると表現が違うのは当たり前で、形容詞も自分で考えだしたものの言い方をするだろう。内容も比喩やら暗喩を駆使するだろう。
高度のものは一部の人にしか解らないものなのかもしれない。
それが解るように学べばいいのだろうが、僕は難しい文学よりも趣味として読んだり書いたりするのであれば、安易と言われるだろうがやさしいものを書きたいと思う。
無論高度な文学的なものなど書けないから言うのであるが・・・
「モナリザの微笑み」でさえ解説されると、いろいろと隠されたものが解ってくる。
優しく微笑んで何かを人に与える事が出来たらいいと思う。
やさしい文章で何か人に感動を与える事が出来たらいいと思う。