小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

粗捜しするカメラ

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 
 私を助けてほしいよ。お願い、カミサマ。

「……変だねぇ」

 私を救えるのは、貴方しか居ない。
 この私の闇を理解出来るのは、この世で君一人しか居ないんだから。

「何がですか?」
「最近お前だよぉ」

 ねえねえカミサマ、どうしたらいいのかな?
 私という存在は一つしかないっていうのに、心はいつもバラバラなんだ。そうしたいと願うこととその真逆とが、いつも私を引き裂いているんだ。
 貴方なら解るよね? もう判っているよね? 総ての想いが同時進行している苦痛と葛藤を。
 退屈だった私も、略奪(ゲーム)を繰り返した私も、貴方と生きたいと願っている私も、貴方を殺したいと思っている私も。
 全部がずっと同時に私(ココロ)の中にて、総てが同じ質量なんだ。
 どれかを選ぶことなんて出来ないよ。もちろん、それらを総て捨ててしまうことも。

「……何かあったぁ?」
「何もないです」

 ねえねえカミサマ。貴方は知っているよね。貴方なら解ってくれているよね。
 だって、貴方はそんな貴方を受け入れてくれたから。

「嘘つきだなぁ」
「嘘じゃないよ」
「全眼通(おれのめ)は誤魔化しがきかないのは知ってるだろぉ」

 早く、早く私を助けてよ。私をメチャクチャにして、知らん振りなんてしないでくれ!

「……いつものように言ってみなぁ」
「好き」
「お前の言葉はまるで悲鳴のようだねぇ」
「…………」
「そのくらいのこと、俺ぁ全部知っているし、全部解っているよぉ」

 ……少し間、何か仕掛けるのはやめておこうかなあ。
 例えカミサマを完全に壊しちゃったとしても、私はきっとカミサマのことずっと好きでいると思う。
 でも、死んじゃったカミサマは私を何とかしてくれないだろうし、動かないカミサマは私に二度と話しかけてくれないだろうから。
 自重、自重しよう、暫らくは。この欲望(おもい)は、尽きることはないみたいだけど、ときどき隠れてしまうらしい。
 でもまたきっと、すぐに繰り返すよ。
 だってだって。
 どうしようもないくらい、貴方が好きだから。どうしようもなく愛しているからね。

 私は笑ってあの人の肩口に頬をくっつけた。
作品名:粗捜しするカメラ 作家名:狂言巡